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SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みなど「正しさ」が企業に要求される。社会課題と本業改革の双方に企業は取り組み続けなければならない。知恵を絞り、策を立て、社会基盤になったITを使いつくすことがカギになる。

 企業を何らかの尺度で評価して並べたランキングは興味深く眺められる。「なるほど」と思う結果もあれば「これはどうか」と首をひねる結果もあるが示唆は得られる。例えば「Corporate Reputation Rankings」がある。企業の評判に注目して順位を付けたもので企業の「正しさ」ないし「社会性」のランキングとしてしばしば引用される。

 正式名称は「The Axios Harris Poll 100」。ニュースサイト運営の米アクシオスと調査会社の米ハリス・ポールが毎年1回、約4万人にアンケートし、回答者が目立つとして挙げた企業から100社を選び、信用、キャラクター(カルチャー、倫理観、市民としての責任ある行動)、企業の軌跡(ビジョン、成長性、製品/サービス)の3分野7項目で評価し、ランキングしている。

 最新の結果は2021年5月に発表された。1位は衣料品メーカーの米パタゴニア、2位はホンダ、3位はワクチンで知られた米モデルナ、4位は外食チェーンの米チックフィレイ、5位が米スペースX。ちなみにGAFAはアマゾン・ドット・コムが10位、アップルが16位、グーグルが60位、フェイスブックが98位。

 アマゾンは2020年の3位から10位に下がった。7項目のうち信用、ビジョン、成長性、製品/サービスが高い一方、倫理観が40位(2020年24位)だったことが響いた。アップルは総じて評価を上げ2020年の27位から16位になったが倫理観の評価は18位から52位に落ちた。グーグルは24位から60位へと急落、倫理観は87位。フェイスブックは問題投稿を放置したとの指摘もあり、2020年は97位だった。2021年の倫理観は99位。

 調査結果を引用したのはGAFAの倫理観を問うためではないし、この調査の妥当性を論じたいからでもない。重要なのはIT企業に限らず、すべての企業が「正しさ」を厳しく問われる時代に入ったということである。

 正しさを評価する7項目は示唆に富む。ビジョンを持ち、良い製品/サービスを出し、成長して信用を得ても十分ではなく、カルチャー、倫理観、市民としての責任ある行動が伴わなければ「正しさ」があるとは見なされない。

 企業にとっては評価軸が増え、それらのバランスを取ることを求められる。「正しさ」にひもづくカーボンニュートラルやダイバーシティーなどの社会課題、本業を成長させる改革、これらを含めて自社の将来像を描き、そこへ向かう。SDGs(持続可能な開発目標)という以上、バランスを常に取り、企業も持続しなければならない。

社会を向いたIT利用へ

 以上の難題をこなすためにITの利用は不可欠でそのアプローチは社会的になる。モバイルデバイスとインターネットで人々がつながった状態を新たな社会基盤と見なし、その上で社会課題への対処と本業改革を進める。

 例えば社会課題に向けたインターネットサービスを社会基盤の上で始める。課題に向けてリアルな行動を起こし、ITを使って支える。ネット上であろうがリアルであろうが同じ課題に挑む仲間と出会い、チームとして動くためにも社会基盤が使われる。活動をソーシャルメディアで発信し、周囲を巻き込み、取り組みを広げていく。

 すでに社会課題に対処している人や組織を支援するやり方もある。何かの課題に挑むスタートアップと提携、本業で蓄積したデータや知財を提供する。SDGsに配慮した商品やサービスを積極的に購入、社内の意識を高めると共に購入状況を社内外に発信する。

 こうした取り組みでは課題への対策、本業、社会基盤が直接あるいは間接に連携し、情報が行き交う。全体像を描くと社会基盤と社内の情報システムが重なり合う複層の構造になる。