SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けては新興国との協業が重要である。先進的な技術を基にイノベーションを生み出し、世界に広げていく。その姿勢はGAFAMと総称される巨大IT企業の取り組みに顕著である。
SDGs(持続可能な開発目標)を経営課題に取り入れる企業が増えており、経営者もしばしば言及する。目標に向かうためには新興国との協業が求められる。協業は17の目標の10番目、「人や国の不平等をなくそう」に直結する。
本連載の前回で7番目の目標「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」関するGAFAM(米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック、米アップル、米マイクロソフト)の活動を見た。今回は新興国との協業について紹介する。
世界をつなぎフラットに
新興国を交えて世界各国が協業する前提はインターネットを介してフラットにつながることである。まず接続を巡る格差を無くさなければならない。
2020年10月、マイクロソフトは米スペースXの低軌道衛星通信「Starlink」を「Azure Modular Datacenter(MDC)」で採用すると発表した。MDCは自給式で電力インフラが未整備の地域で動く。新興国はMDCを使えば衛星を介してインターネットに接続できる。
フェイスブックは2020年5月、世界各国の通信事業者と組み、全長約3万7000キロメートルの海底ケーブルをアフリカに敷設していくと発表した。同社は2013年からインターネットへのアクセシビリティーを高める取り組み「Internet.org」を続けている。
グーグルは2020年7月、兄弟会社の米ルーンを通じて、気球によりインターネット接続を広げる「Project Loon」の提供をケニアで始めたと発表した。また2020年2月、インドで400カ所の駅に無料Wi-Fiを提供してきた「Google Station」を縮小していくと発表した。400カ所への展開を終え、今後はインドの事業者が引き継ぐ。
インターネットに接続できればコンテンツの流通が始まる。GAFAMは製品やサービスを提供する国と地域の拡大に向け、自ら技術を開発し、ルールを作り、人々を巻き込んでいく。