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何らかの制約がある人も含め、誰もがチームに参加し、貢献できる。これが「インクルージョン」であり、その実現は企業や組織の重要課題である。ICT社会基盤に責任を持つ大手企業は企業間の垣根を越えてこの課題に取り組む。

 米マイクロソフトは2020年10月21日(米国時間)、「ダイバーシティー&インクルージョンリポート」を公開した。同社はダイバーシティー(多様性)と「インクルージョン」への取り組みを毎年データと共に報告している。

 インクルージョンは包括、一体、共に過ごす、といった意味を持つ。様々な人がいるダイバーシティーはもはや前提であり、多様な人が誰でもチームに参加、自分の力を出し、貢献できる状態がインクルージョンである。

 米グーグルも「Google Diversity」サイトにおいて人種平等をコミットメントとして掲げ、ダイバーシティーとインクルージョンの具体策を表明している。アイデアやデータを集めた「Think with Google」に「Global Diversity & Inclusion」と呼ぶ場所を用意した。

 インクルージョンは日本にとっても課題である。主にマイクロソフトの取り組みから示唆を読みとってみよう。

インクルージョンとは何か

 今やインクルージョンとは全ての人が参加できることを意味する。国籍や人種、心身の何らかの制約などを問わないということである。一般に言われてきた定義より広く深くなっている。

 マイクロソフトのリポートには今、何を課題と見ているかが記載されている。2020年には新型コロナウイルス感染症の流行があり、人種による不平等が改めて問題視された。人種的不当行為に言及すると共に、今回初めて、「ディスアビリティー」を持つと自分で認識している従業員の割合を公開した。ディスアビリティーとは何らかの能力に制約があることである。

 ダイバーシティーについてリポートでは、2019年より高まっているものの、人種に課題があると報告している。黒人やアフリカ系米国人は米国従業員の4.7%、ヒスパニック系やラテン系は6.4%、ネーティブアメリカン、アラスカネーティブ、ネーティブハワイアン、太平洋諸島民は0.6%、これに対しアジア系は34.9%となっている。

 米フェイスブックもダイバーシティーについて報告するページを用意し、人種別の従業員比率をグラフで示している。やはりアジア系従業員の比率が高く、黒人・アフリカ系は少ない。

 マイクロソフトはリポートに先立って、2020年6月23日にサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)が全社員に「Addressing racial injustice(人種的不当行為に立ち向かう)」と題したメールを送った。ナデラCEOは黒人とアフリカ系米国人への不当行為や不平等に対処する、黒人の管理職や幹部社員を2025年までに2倍にすると述べた。