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情報を利用しやすくする「アクセシビリティー」は全員参加社会のカギである。米アップル、米グーグル、米マイクロソフトら大手IT企業は開発に力を入れている。利用する企業には、皆を巻き込み、行動する「組む勇気」が求められる。

 米アキリ・インタラクティブ・ラブズが開発する「EndeavorRx」が2020年6月、初の治療用ゲームとして米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた。障害物を避けていくアクションゲームで、ADHD(注意欠陥多動性障害)を持つ8~12歳児の注意機能改善を目指して開発された。米アップルのiPhoneとiPadで利用できる。FDAの承認を受け、米国の病院で医師の判断に基づき、ADHDの子どもにゲーム利用が「処方」されるようになる。

 これまでもiPad上で自閉症の子どもに向けたアプリケーションが多々提供されてきた。コミュニケーションを支援するアプリや教育アプリも数多い。iPadの上で治療を受けた子どもが引き続き様々なアプリに接し、学ぶ場を見つけ、就業や活躍の機会を得て、社会とつながることが期待される。

 これは前号本欄で述べた「多様な人が誰でもチームに参加、自分の力を出し、貢献できる状態(インクルージョン)」を目指す取り組みである。カギとして誰でも機器を使えるようにする「アクセシビリティー」がある。

 アップルはiPhoneについて「世界で最もパーソナルなデバイスは、すべての人が使えるように設計された」と述べ、iPadも含めてアクセシビリティーの充実に長年投資してきた。

 例えばiPadの場合、利用者の視覚、身体動作、聴覚に応じて様々な機能を選べる。視覚の支援であれば、画面上で起こっていることを音声で伝えてくれるVoiceOverやバリアフリー音声ガイドの再生機能などがある。身体動作に関しては「AssistiveTouch」があり、ボタンを押す、ジェスチャーで動かすといった操作をタップで代替できる。聴覚の支援については「Made for iPhone」という総称のもと、複数メーカーが補聴器を用意している。音声認識機能「Siri」は、発話ができない人でも文字入力で操作できる。

アクセシビリティーに注力する大手

 米グーグルや米フェイスブック、米マイクロソフトもアクセシビリティーに取り組む。2020年5月23日に開かれた「Global Accessibility Awareness Day(GAAD)」に合わせ、グーグルは「Action Blocks」と呼ぶアプリを発表した。Androidで使える音声認識機能「Google アシスタント」を発話せずにタップ操作で利用できる。

 さらに2019年に発表していた、AI(人工知能)を使って音声を字幕に即時変換するアプリ「Live Transcribe」、補聴アプリ「Sound Amplifier」、スマートフォンを音声で操作する「Voice Access」などを利用可能にした。また「Google Maps」で検索した場所が車椅子に対応しているかどうかを確認できるようにした。米国、英国、オーストラリア、日本などにある1500万以上の場所が対象である。

 米国盲人協会など複数団体と協調し、フェイスブックはサービスのアクセシビリティー向上を図っている。2016年には投稿された写真の内容をAIが読み上げる機能を発表していた。