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 「メインフレームとオープン系のベストミックスなアーキテクチャーだ。システムが完成したあかつきには、サービスや機能は他のメガバンクに大きく先行できる」。三井住友フィナンシャルグループのCIO(最高情報責任者)を務める、三井住友銀行の増田正治取締役専務執行役員は、こう自信を見せる。

図 三井住友銀行の勘定系システムの変遷
図 三井住友銀行の勘定系システムの変遷
1994年の「第4次オンライン」が原点(出所:三井住友銀行の資料を基に日経コンピュータ作成)(写真提供:三井住友銀行(第4次オンライン)) BCP:事業継続計画 注:金額は投資額、人月は開発工数
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銀行DXの基盤に

 2021年度から新システムを順次稼働させ、メインフレームのハードウエア保守契約の期限切れに合わせて2025年度に機器の移行を終える。投資額は500億円と、2002年に旧住友銀行と旧さくら銀行の勘定系システムを統合した際の600億円に次ぐ規模となる。開発規模は2万人月を見込む。三井住友銀がシステム企画を担当する。システムの開発は日本総合研究所、運用は日本総研情報サービスがそれぞれ担う。

 新システムで三井住友銀は何を目指すのか。一言で表現すれば「銀行DX」だ。既存のビジネスモデルの見直しから新たな事業の創出、自らの業務プロセスの質や効率の向上まで、銀行としてのあらゆる事業を変革する。そのために勘定系データをフル活用する基盤を整備する計画だ。

 情報産業化、プラットフォーマー、ソリューションプロバイダー。三井住友フィナンシャルグループは2020年度(2021年3月期)からの新中期経営計画で、目指すべき方向性をこう表現した。「あたかもIT企業のような言葉を使った、今までとは異なる中計。次の3年でビジネス全般をデジタルに変えていく意志の表明だ」(増田取締役)。

 新システムで実現を目指すサービスの1つが、24時間無停止のオンラインシステムだ。現状、三井住友銀を含む銀行は日曜の午後9時から翌月曜の午前7時まで、定期メンテナンスなどのためにオンラインサービスを止めている。ただ、スマートフォン決済への残高チャージをはじめ、昼夜を問わずオンラインシステムを使いたいとのニーズが高まっている。

図 三井住友銀行が次期勘定系システムで目指すサービスの例
図 三井住友銀行が次期勘定系システムで目指すサービスの例
銀行の「常識」を見直す(出所:三井住友銀行の資料を基に日経コンピュータ作成)
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