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デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める自治体にとって悩みのタネがDX人材の獲得だ。ITベンダーなどの協力を取り付け、組織内にDX人材を確保する動きが広がっている。自治体向け事業を拡大したいITベンダーにとっても先行事例を作るチャンスとなっている。

金沢市
ベンダーが協力 リーダー職員育成

 全職員をデジタル人材に――。金沢市は全事務職員約2000人を対象に2021年度からデジタル研修を始めた。約100ある課全てにDX推進のリーダーを配置するため、人材を公募してリーダー研修を施すのが特徴だ。

デジタル行政推進リーダー育成研修の様子(写真提供:金沢市)
デジタル行政推進リーダー育成研修の様子(写真提供:金沢市)
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 日本マイクロソフト(日本MS)が協力し、2021年5月から11月にかけ、初めてのデジタル行政推進リーダー育成研修を実施した。20歳代から40歳代の20人が参加。eラーニングや座学で基礎知識を習得後、ツールを用いてデータ分析やアプリ開発などの演習を実施。その後、現場の課題をヒアリングして業務改善プロジェクトを企画したり、所属部署で取り組む次年度の具体的なDX政策を提案したりした。

図 金沢市の職員向けデジタル人材育成の枠組み
図 金沢市の職員向けデジタル人材育成の枠組み
若手職員20人を対象に200時間の研修を実施した(出所:金沢市の資料を基に日経コンピュータ作成)
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 クラフト政策推進課の関浩太主査は当初、紙の削減など職員の業務効率化を進めたいとリーダー育成研修に参加した。研修の中でサービスデザイン思考について学ぶうちに「市民目線で政策をつくっていく」と考えが変わってきたという。汎用のクラウドサービスでアンケート機能を職員が簡単につくれることが分かると「簡単な工夫で市民の声を取り入れられる」と活用を提案した。「参加した職員の成功体験をどうつくるかが課題だ」と同市デジタル行政戦略課の佐野宏昭課長は話す。

ITベンダーにもメリット

 サービスデザイン思考について講義した日本MSの藤中伸紀インダストリーアドバイザーは、「住民目線でのサービス設計を取り入れたいと考えた」と話す。

 金沢市は日本MSに加え金沢市に本社を置くシステムサポートと2020年11月に連携協定を締結。日本MSはほぼ手弁当で研修に協力しているが、今後他の自治体にも研修プログラムなどを展開していくに当たり、金沢市での事例が参考になる利点がある。