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強みの源泉は「レイヤー構造」

 とはいえ、誰もが簡単にプラットフォーマーになれるわけではない。プラットフォームだけがGAFAの強みではない点に注意が必要だ。

図 バリューチェーン構造とレイヤー構造の違い
図 バリューチェーン構造とレイヤー構造の違い
GAFAの強みは「レイヤー構造」に(出所:早稲田大学WBS研究センター「早稲田国際経営研究 No.44」(2013)pp.145-162を基に日経コンピュータ作成)
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 トヨタをはじめとする従来企業が展開しているのは「バリューチェーン構造のビジネス」(根来教授)だ。組み立て型製造業であれば「素材」「加工」「組み立て」「販売」の各工程を担う企業が鎖のようにつながってビジネスを進める。トヨタなどが担うのは主に「組み立て」に当たる最終製品の企画や開発・製造だ。収益は最終製品の販売によって得られ、消費者とは「販売」を担当するディーラーが主に接する。

 これに対し、GAFAの事業は「レイヤー構造」を取るのが特徴だ。レイヤー構造は製品やサービスの組み合わせについて消費者が直接、自由に選択できるようになることを指す。GAFAなどは「プラットフォームだけでなく製造や小売りのビジネスモデルを組み合わせた」(根来教授)形でレイヤー構造のビジネスを進めているという。

 さらにプラットフォーマーは自社の経営資源ではカバーできない領域のレイヤーをオープンにしている。他社の補完的な製品・サービスや消費者から集めたデータを利用し、一体としてサービスを提供するのが狙いだ。例えばアップルのiPhoneとアプリ、グーグルの検索サービスとWebサイトの関係が該当する。プラットフォームに様々な企業が参加することで利用者の選択肢が広がる。

図 米アマゾン・ドット・コムとアップルの主な事業構造
図 米アマゾン・ドット・コムとアップルの主な事業構造
プラットフォームを組み合わせて成長してきた(出所:早稲田大学IT戦略研究所長の根来龍之教授への取材を基に日経コンピュータ作成)
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 レイヤー構造が顕著なのはアマゾンだ。書籍の電子商取引(EC)から始め、アマゾン以外の出品者が販売するプラットフォーム「マーケットプレイス」を作り上げた。その上に、企業や出品者向けクラウドサービスの「Amazon Web Services」と「FBA(フルフィルメント)」、コンテンツ配信サービスの「Amazon Prime Video」といったプラットフォームを積み重ねている。2007年からは電子書籍端末「Kindle」などエレクトロニクス製品の企画・製造・販売も手掛けている。

 アマゾンはプラットフォームと小売り、製造という3種類のビジネスを積み重ねている。「アマゾンは単なるプラットフォームの会社ではない」(根来教授)わけだ。

 アップルも同様に、売り上げの8割をスマートフォン「iPhone」やノートパソコン「MacBook」などハードウエアの販売で上げていて、これらを生かす形で「App Store」などのプラットフォームを提供している。