全8414文字

 「社会課題解決と新たな価値を創出できるコネクテッドな社会を実現するデジタルインフラ基盤の提供について」。2022年2月14日、富士通のWebサイトにこんな文書がひっそりと掲載された。一見すると新サービスの発表と見まがうこの文書こそが、富士通がメインフレームとUNIXサーバーの撤退について触れた公式声明だ。

富士通が2022年2月14日に公開した声明文(画像提供:富士通)
富士通が2022年2月14日に公開した声明文(画像提供:富士通)
[画像のクリックで拡大表示]

 サステナブル(持続可能)、レジリエント(強じん)、セキュリティー、データの信ぴょう性──。声明では富士通が目指す新たなITインフラを象徴する言葉が並ぶ。それを実現する一環として、メインフレームやUNIXサーバーの「クラウドシフト」に取り組むとする。

2030年度メインフレーム販売終了

 富士通が60年あまりに及ぶメインフレーム事業の歴史にピリオドを打つ。メインフレーム「GS21シリーズ」の製造と販売を終えるのは2030年度。その後も2035年度まで既存顧客向けの保守を続ける。製造・販売を終えるまでに、2024年度にもプロセッサーなどを強化したメインフレームの新モデルを発売する計画だ。

 UNIXサーバー「SPARC M12」については、2029年度下期に製造と販売を終える。同じく保守を5年間続けて、2034年度に事業を終える。この間、インターフェースや消費電力の環境規制への準拠をはじめとする規格更新版モデルを少なくとも1回は販売する。

 事業の完全撤退まで10年以上の期間を残して公表した理由は何か。富士通関係者は「顧客企業が新たな環境に移行するための検討期間をしっかりとるため」と明かす。

 一般にメインフレームで構築・運用する基幹システムを刷新する間隔は7~10年とされる。ほとんどの顧客企業が、少なくとも次の刷新までに移行先のインフラを決める時間を確保できるとみられる。