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テレワーク会議だと議論が活発にならず、成長の源泉といえる企画が細っていないか。企画会議の成功には入念な準備と次につながる運営法、それを支える環境が必要だ。テレワークによるグループでの企画経験が豊富な筆者にそのノウハウを紹介してもらう。

 筆者はMIXTIA(ミクスティア)という新規事業の企画を立案するプロジェクトを2019年より運営しています。メンバーの所在地が東京・愛知・大阪・大分とずいぶんと離れているため、立ち上げ時から100%テレワーク前提で進めています。

 当初はテレワーク環境での企画立案が想定通りにいかなかったのですが、1年近くかけて試行錯誤し、その結果今では支障なく作業がはかどり、様々な事業企画を生み出しています。

 コロナ禍で急速に普及したテレワーク環境は便利な半面、議論が活発にならないなどの課題が浮上しています。本連載では、筆者がMIXTIAで培った、テレワーク環境下におけるグループでの企画業務で成果を出す方法やノウハウを紹介します。

 MIXTIAという名はラテン語のMIXTA(混ぜ合わせ)、SCIENTIA(知識)、SAPIENTIA(知恵)の3つに由来し「多様なノウハウが混ざり合い価値を生み成果を出す」という意味を込めています。企画はどんな業務でも価値創出の出発点で、メンバーの意見を混ぜ合わせることが肝だからです。

会議の種類で成果に有無

 テレワークでも成果が出る会議と出にくい会議があるのはご存じでしょうか。会議には目的や進め方などによって3種類あると考えています。共有のための会議、決定のための会議、議論のための会議です。

 最初の2つはテレワークでほとんど支障なく実施でき、成果もあります。まず共有のための会議では、発表者が順番に発表し、参加者はチャットか挙手で個々に質疑応答をするといった形で、発表者と他の参加者の関係が一方通行だからです。そして決定のための会議では決議事項が決まっており、あらかじめ内容を共有した上で質疑応答して、結論を採択するだけです。

 一方、議論のための会議についてはテレワーク環境では難しく、特にゼロから企画をつくる業務は難度が高いのが実情です。なぜなら、企画は「1対多」ではなく「多対多」の議論を通してつくるものだからです。

 あるメンバーの発言を受けて思考を巡らし、他のメンバーが発言するということを繰り返すため、場の雰囲気や間(ま)の微妙なコントロールが必要であり、対面でも困難なのです。ましてやテレワーク環境下のWeb会議では不可能に近いように思えます。

 しかし、新たな企画は、企業の成長にとって必要不可欠です。企画業務をテレワーク下で実施できない、できても成果が出ない状態が続けば、企業の成長を鈍化させるといっても過言ではありません。

議論が広がらない3つの原因

 なぜテレワークでの企画会議で議論が進まないのか。その理由を筆者の体験から説明しましょう。

 MIXTIAでは新規事業の企画立案がメインのプロジェクトになるので、最初にアイデアメーキングを行います。あらかじめ決めたテーマや条件に従って各メンバーがアイデアを持ち寄り、順番に発表しながらそれぞれのアイデアを膨らませ、かつ課題を抽出していったのです。

 この段階で問題に直面しました。発表した後の議論が進まないのです。発表内容に対して各自の視点でさらにそれを膨らませたり、課題を抽出したりしながら、かつリアリティーを持たせていくフェーズになると、思ったほど広がりが出ず、課題の抽出も進みません。考察の結果、原因は以下の3点に絞られました。

1.人の話にかぶせて話ができない

 Web会議の特性上、話者に別の話者がかぶったときに聞き取りにくくなります。アイデアを思い付いても、おのずと人の話が終わるのを待ってから話すことになります。

 対面の会議では、一気に議論が沸くときはモデレーターが複数の意見をさばき、順番に話すよう促します。しかしWeb会議では話がかぶると議論が止まり、黙り込んだり、譲り合ったりしてしまうのです。

図 テレワーク企画会議の議論が進まない3つの理由
図 テレワーク企画会議の議論が進まない3つの理由
対面会議と比べアイデアが広がらない
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