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モデレーターはメンバーの表情から思考中かどうかを把握しWeb企画会議を運営する。チャットツールにより議論中でもメンバーの気づきを残すことが重要だ。観察によるアナログ判断とデジタルツール活用でリアルを超える運用ができる。

 本連載では、筆者が100%テレワークで運営する新規事業の企画立案プロジェクト「MIXTIA(ミクスティア)」で培ったノウハウを提供し、企業の成長と発展に不可欠な企画業務で成果を上げる方法を紹介します。

 今回は、テレワーク会議(Web企画会議)で要となるモデレーターが実際にどのように会議を取り仕切ればいいのか、具体的な方法とノウハウを解説します。企画会議ではないWeb会議で役立つ内容も含まれていますので、ぜひ参考にしてください。

 前回、Web企画会議ではモデレーターが適切に運営しなければ活発な議論とならず、成果も出ないと説明しました。ではどうすればよいのでしょうか?議論が活性化しない原因を取り除けばよいのです。

 連載初回に、Web企画会議で議論が広がらない主な理由として、人の話にかぶせた話ができない/間(ま)の把握ができない/ホワイトボードや付箋が使えないという3つを挙げました。それぞれの解決方法を見ていきます。

Web会議では判断できない「順番」

 メンバーの発表や発言に対して、気づいた内容をかぶせて発言する。この繰り返しが企画を広げ、練り込みを可能にし、より良くしていきます。これが「議論」と呼ばれるものです。しかし議論する際に発言しようとしたら、他のメンバーの発言とかぶってしまうことがよく起こります。活発な議論であればあるほどその頻度が高くなります。ここでWeb企画会議ならではの課題が発生するのです。

図 発言がかぶった場合の対応、対面会議とWeb会議
図 発言がかぶった場合の対応、対面会議とWeb会議
対面ならさまざまな情報から間合いを取れる
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 Web企画会議で発言がかぶるとどうなるか。お互い黙ってしまうため間が空く上、話す順番を決める作業が発生します。議論が止まり、元の議論に戻るまでに時間がかかります。さらに、発言がかぶらないようにという意識が働くため、誰も発言しないタイミングを見計らうことになります。これでは議論が活性化するはずもなく、良い企画が生まれにくくなってしまいます。

 対面会議ではほとんどの場合、各メンバーがアイコンタクトを取りながら無意識に「お先にどうぞ」「では先に失礼します」というやり取りを行い、自然と話す順番を決めています。体の動きにしても、どうしても伝えたい場合には前のめりになりますし、複数の発言がかぶってもある程度の内容は把握できるため、それらを総合的に瞬時に判断して優先順位を決めているのです。意識せずやっている人間の能力はすごいものです。

 ですがWeb企画会議ではそうした判断を下すのが難しいのが実情です。アナログ/デジタルの音声の違いや、音声が実際の発言者の方向からではなくイヤホンあるいはマイクなどの場所から発せられるからだと想像します。