Web企画会議で議論した内容を「整理」で再利用しやすくする。事前準備と企画会議、振り返り、整理を前後数日以内に実施するサイクルが重要だ。長期的な成果向上のため、モデレーター(司会)の持ち回りでメンバー全体のスキルアップを図る。
本連載は、筆者が100%テレワークで運営する新規事業の企画立案プロジェクト「MIXTIA(ミクスティア)」で培ったノウハウを提供し、企業の成長と発展に不可欠な企画業務で成果を上げる方法を紹介します。
Web企画会議は対面に比べてデメリットが多く成果が出にくいのですが、会議の内容を振り返り、それを整理することで、対面会議を超える成果を上げることが可能です。
最終回は、テレワーク会議(Web企画会議)の議論でいったん捨てられた企画のアイデアを再利用しやすくする「整理」について説明します。企画のテーマではないWeb会議でも参考にできますので、ご一読ください。
整理とセットになる「振り返り」は前回紹介しました。内容を簡単におさらいします。
企画会議では、議論の結果のみが次回の企画会議や企画立案に利用され、議論のプロセスで発生したさまざまな情報のほとんどは捨てられています。これはWebでも対面でも変わりありません。ところが捨てられた情報の中に、議論を重ねるうち再度俎上(そじょう)に乗り、最終的な成果物である企画書に含まれる情報が多々あることが分かりました。
Web企画会議では議論内容を記録して残すことができます。具体的にはWeb会議ツールの動画/チャットツールのログ/ホワイトボードツールのログ――の3つです。Web企画会議だからこそ得られる情報であり、ここに議論のすべてが含まれています。この3つに事前準備資料を加えた4つの情報から、議論内容をテキストに書き起こす作業が「振り返り」でした。
整理で再利用しやすい情報に
さて、議論の内容がテキストデータとして書き出されたら、データの「整理」に入ります。今までのWeb企画会議で捨てていた情報を振り返りで洗い出し、それを再利用しやすくします。
整理は、具体的には以下の作業で構成します。
1.情報発生のプロセス
会議で扱ったそれぞれの情報がどのようなプロセスで発生したかを記載します。メンバーの1人が突然ひらめいて発言した情報なのか、それともあるメンバーの意見を聞いた他のメンバーが発言した情報なのか、あるいはチャットに投稿されたURLを基にWebサイトを閲覧した他のメンバーが発言した内容なのか、などです。この作業は、振り返りの段階から意識することで効率的に済ませられます。工数を削減し時間短縮もできます。
2.結論に使われた情報と使われていない情報の区別
企画会議では結論につながる情報はほんの一部しかありません。途中で捨てられた情報を区別すると、再利用を促すことができます。しかし捨てられた情報の海で、どう区別するのでしょうか。そこで再利用すべき情報かどうかを選別する情報が必要となります。それが上述した情報発生のプロセスと、次に説明するカテゴライズです。
3.発生した情報のカテゴライズ
捨てられた数多くの情報から再利用すべきものとして判断する材料の1つとして、カテゴライズの情報を使います。カテゴライズする属性はさまざまで、企画の種類などによって異なります。発生源や発言者などの汎用的な属性は必要ですが、それよりもその企画内容に応じた独自の属性のほうが判断材料としては有用です。
同様の企画について何度かカテゴライズを行ったことがある場合は、前回までに利用したカテゴライズの属性をベースにすればよいでしょう。作業中に新たなカテゴライズの属性が必要になれば追加すればよいのです。
対象とする企画について、今まで一度もカテゴライズをしたことがない場合、最初はゼロからカテゴライズ属性を設定しながら作業するため、相応の時間と工数がかかります。