国内で次々に発表される店舗削減。百貨店、アパレル、書店、専門店、スーパーマーケット、銀行―。業種業態にかかわらず、閉店ラッシュの実態は目を覆うばかりだ。

 千葉県船橋市のJR船橋駅南口を出てロータリー沿いを歩くこと1分。青い「SEIBU」ロゴが見えてくる。2018年2月28日に50年の歴史にピリオドを打った西武船橋店だ。最終営業日の28日は終業時間の午後8時を過ぎても店内は客でごった返していた。出口に向かう客に深々と頭を垂れる従業員。「長年のご愛顧ありがとうございました」という大きな声が店内外に響く。客の中には涙を流す者さえいた。

2018年2月28日に閉店した西武船橋店。店長の挨拶などのセレモニーはなく、静かに50年の幕を閉じた
2018年2月28日に閉店した西武船橋店。店長の挨拶などのセレモニーはなく、静かに50年の幕を閉じた
(写真:北山 宏一)
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 「8歳の頃から通っていたので」。懐かしそうに話したのは50代の女性だ。自身が西武船橋店に通い始めた頃の年齢をとうに越えた大学生の娘を連れ立ってやってきた。セール品を眺めながら「最近は新宿の伊勢丹や銀座三越に行っちゃうようになりました」と気まずそうに話す。閉店には約7万人の客が訪れたが、もはや何の慰めにもならないほど西武船橋店はその求心力が落ちていた。同店は1967年に開業。ピーク時の1992年2月期は売上高が551億円まで伸びた。一方、2017年2月期にはその3分の1以下の169億円にまで落ち込んでいた。

 今、日本全国で店舗の削減が相次いでいる。背景の1つは米アマゾン・ドット・コムをはじめとしたITを駆使するEC(電子商取引)事業者が小売店の存在を脅かすのに十分な存在となったことだ。いまやアマゾンは商品を売る小売業としての位置付けから、自らがプライベートブランドを持って商品を製造するプレイヤーに進化している。対象は電池などの小物だけでなく衣料品(アパレル)にまで広がる。

 楽天やヤフーといった総合ECに加え「ZOZOTOWN」のようなアパレルECなど、もはやネットで買えないものはないといえるほど。個人間の売買を仲介するフリマアプリ「メルカリ」のようにこれまでの商慣習を壊す存在も登場した。価格破壊も進む。ECは価格の比較が容易なだけでなく、店舗の維持費用がかからず相対的に安くできる。わざわざ店舗に出向いて買い物をする行為は、日に日にその必要性を失っている。

図 全国百貨店の売上高と総店舗面積の推移
図 全国百貨店の売上高と総店舗面積の推移
百貨店の市場規模は20年で3分の2に(出所:日本百貨店協会)
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