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雑談には、生産性向上とリスク低減というマネジメントの効果がある。仕事、時事ネタ、趣味など雑談の内容をあらかじめ考えておくのが得策だ。雑談の活性化には、音声SNSやバーチャルオフィスが役立つ。

 今回は雑談について取り上げます。

 オンラインコミュニケーションと雑談は切っても切れない関係です。オフィスに出社しなくなったことで会話が難しくなり、それでは仕事が進まないので、オンライン会議が始まりました。社内会議だけではなく、営業や採用などあらゆるコミュニケーションがオンライン化されました。このオンライン化の波に取り残されたコミュニケーションが「雑談」です。

 当社でも「雑談がなくなったよね」とか、「ちょっとした会話がやりづらくなったよね」「雑談の中から生まれるセレンディピティ(偶発的な幸運)がなくなったよね」と言われます。

雑談はマネジメントに有益

 管理職にとって、雑談は組織マネジメントに有益なツールです。雑談は仕事に関係ないと思われがちですが、マネジメントに大きく2つの効果があります。

図 マネジメント観点での雑談の効果
図 マネジメント観点での雑談の効果
雑談には2つの効果がある
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 1つは生産性向上です。雑談の場があり、カジュアルなコミュニケーションが取れることで、仕事で困ったときに早めに相談できるようになります。

 これが「来週の定例会で相談しよう」となってしまうと、仕事が止まったまま数日が過ぎてしまいます。その場でタスクの確認やアウトプットの意識合わせができれば、作業の進捗(しんちょく)が早くなり、品質も上がります。

 上司の立場からすれば「困ったことがあればいつでも質問すればよい」と考えるでしょう。しかし部下からすると、つまらないことを質問したと思われたくないと考えたり、忙しいところに時間を取ってもらうのは申し訳ないと考えたりするものです。

 話す機会があることや、相談してもよいと感じられる心理的安全が確保されていることは想像以上に重要なのです。メンバーのエンゲージメント維持も管理職の大切な役割です。雑談は仕事ではないなどと割り切らず、有用性を見直すべきです。

 もう1つの効果は、さまざまなリスクの低減です。顕在化していないプロジェクト進行上の課題や、メンバーの離職相談など、中期的なリスクを吸い上げる場が減っています。

 在宅勤務で出社しない部下の顔色をうかがう機会がなくなりました。増え続けるオンライン会議を効率化するためにアジェンダを決めるようになり、いま解決したい課題を優先し、中長期的な話題は後回しになりがちです。

 「ちょっと気になったから一応伝えておきます」というタイプの会話をする機会が減ったことで、発生する問題が大きくなり、解決のためのアクションが必要になってから報告を受けるようなことがないでしょうか。

 優秀な管理職は、こうした問題の芽をいち早く察知し、先手先手で対応することで、問題自体が起こらないようにしています。昭和的な「飲みニケーション」を推奨するつもりはありませんが、これまで執務エリアや自動販売機の前でのちょっとした立ち話、ランチ中の会話などから得られていた問題の芽を見つける場として雑談は最適です。