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最新のSaaSを活用することで、システム監視を簡単に刷新できる。シンプルなシステムであれば、テンプレートの適用だけで導入は済む。外部SaaSと連携することで、緊急通知を電話で受けることも可能だ。

 オブザーバビリティーに対応した最新のシステム監視SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の実力を事例に基づき見ていこう。

 三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は2021年5月に提供を始めた資産管理のクラウドサービスである「assetforce(アセットフォース)」のシステム監視に、米データドッグのSaaSである「Datadog」を採用。わずか3カ月で運用チームを立ち上げた。

図 三井住友ファイナンス&リース「assetforce(アセットフォース)」のシステム監視体制
図 三井住友ファイナンス&リース「assetforce(アセットフォース)」のシステム監視体制
テンプレート適用だけで監視が可能に
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 assetforceはSMFLの社内エンジニアが内製したサービスで、顧客企業の社内にある産業機器など資産の稼働状況をリアルタイムに管理できる。

 2019年4月からプロトタイプの開発を始め、社内で検証を進めてきた。検証結果が良好だったことから、本格的にサービスを外部提供すると決めたが、有償で提供するからには品質管理が欠かせない。そこで2020年11月にassetforceの運用管理チームを発足させ、2021年1月から運用監視システムを稼働させ始めた。

テンプレートを選ぶだけ

 assetforceの運用管理チームを率いるのは、SMFLのシステム企画部デジタル開発室に所属する森本悠太リードスペシャリストだ。Datadogを選んだ理由について森本氏は「ITインフラについての専門知識がなくても、テンプレートを選ぶだけでシステム監視を始められるといった導入の容易さ」を挙げる。森本氏はassetforceの運用管理チームを作るために、自身以外のチームメンバーを外部から採用する必要があった。そうした事情にDatadogがマッチした。

 例えばDatadogであれば、システムの運用状況を把握できるダッシュボードの画面を「1時間ぐらいの作業時間で作成できる」(森本氏)。ダッシュボードには、assetforceのレスポンスタイム(応答時間)の推移がサブシステムごとにグラフで表示される。このレスポンスタイムは、Datadogが運用するロボットが実際にassetforceのWebサイトへアクセスし、画面を操作することで計測した数値である。一般に「外形監視」と呼ばれる機能だ。

 この他ダッシュボード上には、AWSで使用する各仮想マシンのCPU使用率や「Amazon RDS」などデータベース(DB)サービスの稼働状況なども一覧表示され、安定稼働しているものは緑色で、問題があるものは黄色や赤色などで色分けされている。