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海外製クラウドを採用する勇ましい方針を立て、刷新プロジェクトが始まった。だが正式契約を前に1200人月もの膨大な追加開発が噴出し、計画は迷走。社長が立て直しに抜擢したのは「お前となら運命を共にできる」と決めた部長だった。

 経営破綻から4年が過ぎた2014年2月。当時Web販売部長としてネット上での旅客営業を仕切っていた西畑智博氏は本社会議室に呼び出された。扉を開けると、テーブルの向こうには植木義晴社長(現会長)が1人で待っていた。「今、当社には2つの問題がある。そのうちの1つがPSS刷新だ。お前にそれをやってもらいたい」。

 この頃、PSS刷新プロジェクトは当初の計画が揺らぎ、迷走していた。再び目的地を見定めてまっすぐに水平飛行で到達できるよう、植木会長が操縦かんを託したのが当時部長だった現執行役員の西畑氏だった。

 迷走の経緯を振り返るため、時計の針を約3年戻す。JALは破綻翌年の2011年4月、運航収支の責任を担う路線統括本部内に「旅客システム推進部」を新設して、PSS刷新プロジェクトを本格化。刷新の議案書を役員会議に提出して同部を発足させた当時の路線統括本部長、つまり責任者が植木会長だった。「PSS刷新は今後しっかりした経営基盤を持つためにやり遂げなければいけない事業。コストうんぬんを越える案件として、私の責任で議案書を出した」と植木会長は振り返る。

(写真:ロイター/アフロ)
(写真:ロイター/アフロ)
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図 JALの旅客系基幹システム刷新プロジェクト「SAKURAプロジェクト」のスケジュール
図 JALの旅客系基幹システム刷新プロジェクト「SAKURAプロジェクト」のスケジュール
更生計画から稼働まで7年(画像出所:日本航空)
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クラウドとSOAでシステム刷新

 JALはプロジェクト開始2年目の2012年3月に経営企画本部内のIT企画部をIT企画本部に格上げ。業務面からのPSS刷新の検討を旅客システム推進部が担い、技術面からの検討をIT企画本部が担当する体制に強化した。