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 「会社に依存せず、どこでも通用するようなスキルを身に付けたかった」。神奈川県に住む田辺悠介さんは副業のきっかけをこう振り返る。

 田辺さんは現在2社のスタートアップで働いている。そのうちの1社、東南アジアの保育・教育施設向けICTシステムやヘルスケア管理サービスを手掛けるWELY(京都市)はもともと副業先だった。同社から「CTO(最高技術責任者)になってほしい」と請われ、2020年1月に転身。もともと起業を考えていたが、副業を通じて様々なスタートアップの社長と一緒に働くうちに「トップよりも参謀のほうが自分に向いている」と気づいたという。

副業先への「過激」なアプローチ

 田辺さんはかつて、副業で月に100万円以上稼いでいた「猛者」だった。大学院で物理学を専攻し博士前期(修士)課程修了後、2016年4月にコニカミノルタに新卒入社。医療ソフトウエアのエンジニアとして働くさなか、コニカミノルタは2017年12月に副業を解禁。田辺さんは入社2年目の2018年1月に副業を始めた。

田辺悠介さん、現在は2社のスタートアップで働くほか、メンター(助言者)仲介サービスのMENTAを通じてプログラミングなどを教える(写真:稲垣 純也)
田辺悠介さん、現在は2社のスタートアップで働くほか、メンター(助言者)仲介サービスのMENTAを通じてプログラミングなどを教える(写真:稲垣 純也)
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 大学時代から研究で使っていたためプログラミングのスキルは高かった。「自分のスキルの中で最も汎用性が高いのはプログラミング」と考え、ソフト開発などの案件を副業で請け負った。副業先へのアプローチは「過激なやり方だった」(田辺さん)。SNS(交流サイト)で企業のCTOや仕事の案件を持っていそうなフリーランスを見つけては「一緒に仕事をさせてもらえないだろうか」とダイレクトメッセージを送ったのだ。

 そうして副業を幾つかこなすうちに気がついた。「単にプログラミングを請け負うだけではなく、あるソフトウエアをつくるときにどんな言語やどんな技術を使ってどう組むかといった、技術的に踏み込んだアドバイスまでできると時間単価がぐっと上がる」(同)。多いときは3社から副業を同時に引き受け、「月に100万円以上を副業で稼いだ」(同)。

 コニカミノルタを退職したのは副業を始めて2年弱たった2019年11月のこと。田辺さんはコニカミノルタの仕事にやりがいを感じ、何より好きだったので、辞めるつもりはなかった。だが「システムを構築するだけではなく、より上流から携わりたいという気持ちが強まった」(同)。副業を通して見つけた「やりたいこと」が、WELYのCTOへの挑戦を後押ししたわけだ。

 2020年6月からは不動産業界向けVR(仮想現実)開発のラストマイルワークス(東京・中央)でもテックリードとしてWebエンジニアチーム全体を束ねている。さらにクラウドソーシング大手ランサーズ子会社のMENTA(東京・渋谷)が提供する、メンター(助言者)をオンラインで仲介するサービス「MENTA」を通じてプログラミングなどを有償で教える。2つ以上の仕事を掛け持ちする「パラレルワーカー」になった田辺さんの月収はかつての数倍になったようだ。