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 「うちの会社のWebサイトにどんなクッキーのタグがあるか調べてほしい」

 「クッキーの利用目的をプライバシーポリシーに書きたいがどうしたらよいか」――。

 ユーザーのWeb行動履歴の収集などに使う「クッキー(cookie)」について、国内企業からアド(広告)テクノロジー関連企業にこんな依頼が相次いでいる。

ずさんなクッキー管理の実態

 「自社のWebサイトがどのようなタグを設置し、クッキーを通じてどのようなユーザーデータを収集しているか、本社が管理できていない例が少なくない」。複数のアドテク関連企業は、国内企業の実態をこう明かす。

図 ある日本企業のWebサイトにおける同意取得・管理プラットフォーム(CMP)の運用例
図 ある日本企業のWebサイトにおける同意取得・管理プラットフォーム(CMP)の運用例
「クッキー利用の同意取得」で不適切な事例が頻発
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 例えば、企業が期間限定の広告キャンペーンなどを展開するためにWebサイトのページにクッキーを利用するタグなどを設置し、広告効果を測定する場合がある。多くの企業は本社の経営管理部門が自社サイトを管理しているが、アドテク会社にタグなどの設置を依頼するのは主に営業部門や宣伝部門だ。結果として経営管理部門の管理が行き届かない事態を招きやすい。

 問題はクッキーだけではない。Webブラウザーから得られる情報を基にブラウザーを特定する「フィンガープリント」と呼ばれる技術を利用するWebサイトも増えているという。フィンガープリントはクッキーとは異なり、ユーザーの意思で削除しにくいという特徴がある。

 そのため特に消費者向けビジネスを展開する企業の一部で、自社のWebサイトにどのようなタグなどが設置されているかを洗い出すサービスへのニーズが高まっている。知らぬ間にフィンガープリントを利用していないか調査を求める企業もある。調査結果を踏まえてプライバシーポリシーを見直す動きもあるという。