PR
4/1朝まで
どなたでも有料記事が読み放題「無料開放デー」開催中!

 事象の表現が大ざっぱだと、続く「なぜ?」も大ざっぱになる。これでは議論が発散するだけで、的確な再発防止策など出てこない。問題を1つずつ絞り込んで、なぜなぜ分析するのが望ましい。

 「今年に入って入力ミスが多発している。なぜ入力ミスが多いのかを考えてくれ」。

 あなたは上司から、こんな原因追究の依頼を受けたことがないだろうか。もしくは管理職として、部下にこのような指示を出したことはないか、思い出してみてほしい。

 結論からいえば、どちらも完全にNG。こんなやり取りをしているうちは、入力ミスは決してなくならない。

 「入力ミスが多い」といった、十把一絡げで大ざっぱな表現をすると、続く「なぜ?」が途端にいい加減になる。おかしな「なぜ?」が出てくる理由の1つは「入力ミス」といった定義がはっきりせず、人によって思い浮かべる場面が異なる曖昧な言葉で物事を考えようとしていることだ。

 入力ミスという表現だと、様々な場面の入力ミスを想定できてしまう。ある人は先月に発生した帳票の入力ミスを考え、別の人は昨日起きた伝票の入力ミスを想像する、といった具合に、違うシーンをイメージしてしまうことになりかねない。これでは的確な再発防止策が出てくるはずがない。

 仮に入力ミスといった漠然とした表現ではなく、「宛名間違い」のような、ある特定の入力ミスに限定した表現に変えたとしても、やはり十把一絡げで原因を考えようとしている状況に変わりはない。

 なぜなぜ分析をしても、みんなが別々の宛名間違いを思い描きながら発言していたら、話が散漫になり、結論はいつまでたっても出ない。

 見た目は同じような入力ミスだとしても、そのミスに関わった人も違えば、間違えた文字や数字も異なる。全てが同じことはない。むしろ、毎回内容が異なることのほうが多いはずだ。

 にもかかわらず、十把一絡げで「なぜ?」を考えようとするのは、前提条件の違いを無視して考えるのと同じである。議論が発散するのは、最初から目に見えている。

図 十把一絡げで考えると、的外れな「なぜ?」が出やすい
図 十把一絡げで考えると、的外れな「なぜ?」が出やすい
事象の記述が漠然としていると、再発防止策を導けない
[画像のクリックで拡大表示]

 効き目のある再発防止策を出したいのなら、まずは具体的な1件の事象に絞り込んで「なぜ?」を考え始める習慣を付けよう。

 ついでに、いい加減な「なぜ?」が出てくるもう1つの理由にも軽く触れておく。あまりにもよく使う表現なので、全く気づかない人がいるかもしれない。

 おかしな「なぜ?」が出てくるもう1つの表現は「多い」である。「多い」「少ない」といった加減の表現は、日常会話のなかに頻繁に登場する。

 ただし、なぜなぜ分析の視点で考えた場合、「多い」「少ない」という表現は非常に曖昧で、これまた議論がかみ合わなくなる可能性が高い。数の話をするときは、きちんと件数や頻度を数字を入れて記述すべきである。