全3769文字
PR

パブリッククラウドはデジタルトランスフォーメーション(DX)のデータ基盤と相性が良い。拡張性、コスト、柔軟性、スピード、技術的難易度の5つの特性を満たせる。データ基盤がクラウドに移ることで、インフラエンジニアに求められる役割も変化する。

 クラウド、特にパブリッククラウドはDXで利用するデータ基盤に求められる特性の多くを満たしています。筆者はデータ基盤について、クラウドに構築してこそDXを加速させると考えています。第2回はDXのデータ基盤を構築する際に考慮すべき5つの特性を説明し、それらがクラウドでどのように満たされるのかを解説します。さらに、インフラエンジニアに求められる役割が変化することにも触れます。

オンプレミスからクラウドへ

 以前は、物理的なハードウエアであるオンプレミスの環境を導入し、そこにシステムを構築することが当たり前でした。しかし、クラウド技術の進化はこの当たり前を変えました。クラウドベンダーが保有する膨大なリソースを必要なときに使用し、不要になれば返却するといった使い方が可能となりました。この結果、オンプレミスではなし得なかったスピードや柔軟性が得られるようになりました。

 では、DXで利用するデータ基盤の構築に当たって、機能面以外ではどのような要求が発生し、クラウドにどのようなアドバンテージがあるのでしょうか。非機能要件を見ていきましょう。

拡張性

 DXを始める初期段階では、利用するデータ量がどの程度になるか分からないことがほとんどです。DXのテーマや利用するデータセットが変わるとデータ量が急激に増えることがあります。DXが成功して用途が広がったり、利用者が増えたりすると、格納されるデータは増えます。その際、ストレージやデータベースの拡張性がDXを進める制約にならないようにしなければなりません。データを格納する基盤として、物理的な制約が少ない方が望ましいのは言うまでもありません。

 この点、パブリッククラウドのストレージは自動で動的に拡張され、拡張する際にメンテナンスで停止するなどといった制約もありません。データ量の増加に迅速に対応できます。最大容量も大きく確保できます。

 もし、オンプレミスの小規模なインフラでスモールスタートすると、容量が足りなくなった場合に、インフラを拡張する作業や載せ替える作業が発生します。こういった事態を避けるため、利用するかどうか分からない段階で容量の大きな環境を用意してしまうと無駄な投資になるリスクがあります。

 コンピューティングリソース(CPUの処理能力)についても同じことが言えます。必要となるコンピューティングリソースは処理の内容、処理対象のデータ量、並行して実行する処理の多重度によって決まります。DXではきっちりと要件定義で固めてから開発するというより、PoC(概念実証)をやってみて修正を加えていくスタイルで進めていきます。どの程度のコンピューティングリソースが必要になるかは読みにくいため、必要になったら追加できるクラウドが適しています。

図 主なクラウドサービスのオブジェクトストレージとデータベースの拡張性
図 主なクラウドサービスのオブジェクトストレージとデータベースの拡張性
データ量増加に迅速に対応できるパブリッククラウド
[画像のクリックで拡大表示]