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データ基盤を用意しても、質の高いデータがなければ優れたアウトプットは生み出せない。企業内の複数のシステムでデータの持ち方が異なる場合もある。全社最適化し、品質を維持し続けるための「データマネジメント組織」が欠かせない。

 これまで本連載では、データ基盤といういわば外箱の設計について論じてきました。しかし、データ基盤という箱が素晴らしくても、箱に入っているデータが整合性の取れたものでなければ、優れたアウトプットを素早く生み出すことはできません。デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するには、質の高いデータ基盤を用いて、質の高いデータを活用することが重要です。今回は、そのデータに対する統制を確立し、データの質を向上させる仕組みを解説します。

 そもそも質の高いデータとは何でしょうか。データの質を維持するのに考慮されるのは、正確性、適合性(データの値や形式がルールに従っていること)、一貫性(データ間に矛盾がないこと)、最新性などが挙げられます。

 これらに加えて網羅性が重要です。必要なデータが欠落なくそろっているということです。例えば全国展開する企業が営業戦略を立案する際、東日本のデータだけを用いたらどうなるでしょうか。全国のデータが存在していた場合と比べ、精度の劣る営業戦略になってしまうでしょう。また、生産部門の原価計算のデータと連携しなければ、本当に利益を生み出す商品を発見することは困難でしょう。

 企業組織としては地域別、部門別になっていることは多く、システムもそれに応じて別の場合があります。しかし全社のデータを統合して一元化しなければ、全社の状況を把握できません。

図 データと分析ロジック、ナレッジの関係性
図 データと分析ロジック、ナレッジの関係性
データを分析してナレッジを引き出す
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