
(写真提供:米IBM)
量子コンピューターを巡る状況が「沸騰」している。海外では、まだ実用性のない量子コンピューターを開発・販売するスタートアップが続々と株式上場し始めた。同時に日本を含む世界中の事業会社が、量子コンピューターの性能を探る検証を進めている。こうした熱狂の背景には何があるのか。企業は量子コンピューターにどう向き合うべきなのか。日本の戦略はどうあるべきか。最新状況をリポートする。
期待と危機感が高まる理由
量子コンピューターを巡る状況が「沸騰」している。海外では、まだ実用性のない量子コンピューターを開発・販売するスタートアップが続々と株式上場し始めた。同時に日本を含む世界中の事業会社が、量子コンピューターの性能を探る検証を進めている。こうした熱狂の背景には何があるのか。企業は量子コンピューターにどう向き合うべきなのか。日本の戦略はどうあるべきか。最新状況をリポートする。
[Part 1]
現在開発中の量子コンピューターは、いずれも実用域にはほど遠い。それにもかかわらず、米国ではスタートアップの株式上場が相次いでいる。事業会社による性能検証も盛んだ。熱狂の背景には何があるのか。
[Part 2]
日本でも金融や化学分野で、量子コンピューターの実用化を見据えた応用研究が進む。各社が力を入れるのは、計算に必要な量子ビットを少なくするといった「使い方の工夫」。NISQの計算結果から統計的にノイズを取り除く「量子誤り抑制」などに取り組んでいる。
[Part 3]
量子コンピューターの実用化に備えるには、使いこなせる人材が産業界に必要だ。日本では2023年にも、国産の量子コンピューターを試せるテストベッドが稼働する。環境が整備されることで、産学による量子人材の育成に弾みがつきそうだ。
[Part 4]
量子コンピューターの開発は米国企業が先行するが、競争は決着していない。実用化のために乗り越えるべきハードルも、数多く残されている。日本の研究機関で開発が進むハードウエアにも勝機はまだある。