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 新型コロナウイルスの感染拡大により多くの教育機関が新学期の講義を開始できていないが、カリキュラム上は2020年4月から日本のAI(人工知能)教育が大きく変わり始めた。

 政府が2019年6月に決定した「AI戦略 2019」に基づき、大学生や高等専門学校(高専)生全員に、文理を問わず初級レベルの数理・データサイエンス・AIの教育を課し、日常や仕事の場で使いこなす基礎的な素養を習得してもらう取り組みが始まったのだ。

図 各教育課程における典型的なAIリテラシー教育の項目
図 各教育課程における典型的なAIリテラシー教育の項目
生涯学習を通じて「AIが使える人材」を量産
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 政府方針に基づき、東京大学や京都大学など6大学からなる「数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム」は2月25日、カリキュラムのモデル案を公開した。知識の習得よりも「楽しさ」や「学ぶことの意義」を伝えることに重点を置く内容だ。

 各大学はこのモデルカリキュラムを参考に、2020年度から講義を始めることになる。5年後の2025年までに、全ての大学生・高専生(50万人卒/年)を対象に講義を提供できるようにする考えだ。

 これによって基礎的なAIリテラシーを持つ人材を10年で500万人輩出できる。さらに社会人向けには社内研修などを通じてリカレント教育を施し、年間100万人、10年で1000万人にAIリテラシーを習得させる。合計で1500万人がAIリテラシーを身につける――というのが政府AI戦略の数値目標である。その先兵となるのが今回の大学向けモデルカリキュラムだ。

全大学生が2単位の科目を履修

 「全ての大学生が履修する」というモデルカリキュラムは、必修となる3項目「社会におけるデータ・AI利活用」「データリテラシー」「データ・AI利活用における留意事項」で合わせて2単位(90分×15コマ)を想定する。「単一の講義でなく、複数の講義や演習でカバーしてもいい」と、コンソーシアムでカリキュラム策定に関わったNECの孝忠大輔AI人材育成センター長は説明する。

図 数理・データサイエンス・AIリテラシーのモデルカリキュラム
図 数理・データサイエンス・AIリテラシーのモデルカリキュラム
文理問わず全大学生が2単位の科目を履修(出所:数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムの資料を基に日経コンピュータ作成)
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 3つある必修項目のうち最も力点が置かれているのが「導入:社会におけるデータ・AI利活用」だ。スマートフォンから自動車まで、身近な生活の中でAI技術やデータ分析がどう生かされているかを学ぶ。

 第2の必修項目「基礎:データリテラシー」はデータを批判的に読み解く術を学ぶ。例えば新型コロナウイルスの話題で頻出する「致死率」「偽陰性」などの統計用語を正確に理解するための素地をつくる。実データを使ったデータの可視化や分析の実習も行う。

 第3の「心得:データ・AI利活用における留意事項」はAIのバイアスや個人情報の悪用など、データ社会の危うい側面について学ぶ。