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必ず起こる上司と部下の評価のギャップを、自分の中の「仮想の上司」で解消する。上位の目線を持って訓練することで今まで見えなかった景色が見えてくる。チーム全体でセルフマネジメントを徹底すれば、仕事の価値も成果も上がるはずだ。

 本連載は、新型コロナ後のニューノーマル時代に生き残るための新規事業立ち上げガイドラインを、限られたリソースの中で短期間に実際のプロダクトあるいはサービスを生み出すまでの取り組みを通して解説します。

 前回は新規事業の立ち上げには欠かせないモチベーションコントロールを説明しました。今回はセルフマネジメントを説明します。新規事業に携わっていなくても、業務で成果を上げるためのヒントにしてください。

 「紺猿(こんさる)さん」という事業開発を得意分野とするコンサルタントの元に、新規事業を手掛けている知り合いの「神姫(しんき)さん」が再び訪れました。部下のモチベーションが下がっていることに悩んでいます。

 「紺猿さんはモチベーションをコントロールするには『セルフマネジメント』が大切だと言いましたね。それは何ですか?」

 「その前に質問です。神姫さんに一番近い立場の上司はどなたですか?と言うか、誰だと思いますか?」

 「私の部署は社長直轄なので、上司は社長になりますね。いえ、ちょっと待ってください。『誰だと思いますか』というご質問でしたよね。私の上は社長しかいないですが……」

 「しっかり私の質問の意図をくみ取っていただきましたね。まさしくその点が重要なのです。実際の上司以外に別の『上司』が存在します。それは神姫さんご自身なのです」

 「何のことかさっぱり分かりません」

 「内容はいたってシンプルです。ご自身の中に上司となる自分を設定し、その上司から自分がどう見えているのかを考え、またその上司と自身が対話するというわけです。つまり、自分で自分のマネジメントをするのが『セルフマネジメント』なのです」

自分の中に仮想の上司をつくる

 会社や組織の中では「上司」と「部下」という関係が必ず存在します。そして上司は部下をマネジメントします。

 「セルフマネジメント」では、自分の中に仮想の上司をつくり、その仮想の上司を自分が務めます。仮想の上司の自分が部下の自分を評価する、あるいはこの「両者」が対話して、マネジメントの課題を解決し、成果の向上も促すことができます。

図 部下によるセルフマネジメントの概念
図 部下によるセルフマネジメントの概念
自分の中に仮想の上司をつくる
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 「なるほど、マネジメントされるだけではなく、自分自身をマネジメントすることで『上司』の側も経験してもらうんですね。しかし、それに意味があるのですか?」

 「モチベーションコントロールの課題に加えて、マネジメントの課題の多くも解決できます。まずは前者から行きますよ。神姫さんは『部下のモチベーションコントロールはできません』と言いましたが、その通りなのです。上司ではできませんし、仮にできたとしてもやるべきではないのです。この点を説明しましょう」