いくら良い製品やサービスを開発しても、顧客が認知し、使わなくては意味がない。ターゲット顧客との接点をつくり、商材の存在を知ってもらうことが重要だ。購入に至るプロセスを設定し、数値や時間軸を決めて販売プランを作成する。
本連載は、新型コロナ後のニューノーマル時代に生き残るための新規事業立ち上げガイドラインを、限られたリソースの中で短期間に実際のプロダクトあるいはサービスを生み出すまでの取り組みを通して解説します。
今回は販売プロセスを含めて販売プランの設定方法について説明します。
販売プロセスを設定する
製品やサービスを発注あるいは契約してもらうまでには、いくつかのプロセスを経る必要があります。
基本的には、まずターゲット顧客との接点をつくり、製品やサービスを認知してもらい、その次にその製品やサービスがターゲット顧客に対して有用であることを認識してもらう。その上で顧客による購入の検討、最終的な購入へ至るというプロセスです。
しかし提供する製品やサービスの内容やターゲット顧客の属性によって販売プロセスは大きく変わります。
コンシューマーがターゲット、つまりBtoCの事業で単価が安い製品の場合は、客はSNSなどで口コミ情報を見ながら購入します。認知から購入までのリードタイムは短く、営業パーソンと折衝することもありません。
企業がターゲット、つまりBtoBの事業で単価の高い製品やサービスでは、ネットが重要な情報収集のツールです。Webサイトでの詳細な情報提供は必須ではあるものの、ほとんどの場合は営業パーソンの個別折衝にて導入決定がなされます。リードタイムも長く、場合によっては年単位になることがあります。
新規事業を任された「神姫(しんき)さん」が、事業開発コンサルタント「紺猿(こんさる)さん」に、新規事業のPRの方法について相談しています。
「神姫さん、今あなたが設定されている販売方法では、まず事業が立ち上がらないでしょう。開発中心の企業によくあるパターンで、WebサイトでPRすれば売れると思っている人が多く、これは間違いです」
「紺猿さん、Webサイトで製品を知ってもらい、問い合わせを受けてから購入に向けて折衝するという流れは間違っていないように思いますが」
「確かに『課題を抱えた顧客がネットで検索し、貴社のWebサイトを見つけて問い合わせる』(リード獲得)という流れが一番いいですよね。しかしこの筋書きは夢物語に近いでしょう」
Webサイトを見た顧客が問い合わせるには、高いハードルがあります。行動パターンとしては、検索サイトでキーワード検索するのが一般的です。新規事業を立ち上げた企業のWebサイトは上位に表示されないため、選択されることはほとんどないでしょう。
もしWebサイトを見たとしても、そこから問い合わせするかどうかという点が2つ目のハードルです。
決定を支援するのが「導入事例」となります。顧客は導入事例を確認して初めて、問い合わせるのです。新規事業の場合は、導入事例がない状態でWebサイトを開設せざるを得ず、いくら課題を解決できる旨をPRしても説得力がないのが現実です。
「紺猿さん、ではどうすれば」
「ターゲット顧客の行動パターンを考えることで、必ずより良い接点のつくり方、リードの生成方法が見つかります。詳しくご説明しましょう」