営業折衝の最終段階に控えるのが「クロージング」だ。顧客から受注するには、顧客の「発注条件」を正確に把握する必要がある。スケジュールを区切りつつ、発注までのギャップを埋める作業を繰り返そう。
この連載ではSEから営業職に転向した人に向けて、SEの強みを生かした「ロジカルセールス」の進め方を筆者の経験とノウハウを基に説明しています。
これまで、アポの取り方、初回訪問の心得、環境準備、会社説明、商品説明の仕方を取り上げました。いよいよ営業折衝の最終段階である「クロージング」を解説します。
営業活動は受注につながらなければ意味がありません。極端に言えば、営業は受注のために働いているのです。
クロージングに当たり、どうすれば顧客から受注できるでしょうか。今回はこの点についてお話しします。
「商品を説明するのは得意ですが、受注に話を持っていくのがどうも苦手です。お客さんに『注文ください』とはなかなか言いにくいのですが……」
よくこんな悩みを耳にします。どうやら、こう悩む人は営業の折衝と受注とを別物と考えているようです。
筆者も最初はそう考えていました。しかし、折衝と受注を異なるものとして捉えると、営業折衝は以下のような消耗戦になってしまいます。
- 商品を説明する
- 顧客から質問があれば回答する
- 見積書が必要か確認して、必要であれば提示する
- 見積書を提示した後で、初めて受注を意識した交渉を開始する
- 質疑応答や金額調整の話が延々と続き、受注に至らない……
折衝と受注とは決して別物ではありません。営業折衝の結果として「受注」があるのです。つまり、受注を目的とした営業折衝のストーリーを作ればよいわけです。そのためには、受注の構造を理解する必要があります。