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SOMPOシステムズとSOMPOシステムイノベーションズはなぜ組織改革を始めたのか。その前段には数年にわたって取り組んだ品質向上や人材育成があった。2社が何にどう悩み、これまでの「常識」をどう崩して塾へと駒を進めたかを紹介する。

 今回はSOMPOシステムズとSOMPOシステムイノベーションズ(以下SSI)がどんな経緯で組織改革に挑むに至ったかを紹介します。2社は社名が似ていますがSOMPOホールディングス傘下の同列の兄弟会社です。

 SOMPOシステムズはSOMPOグループ各社をIT面から支援し、SSIは損害保険ジャパンのシステム刷新を専門に行っています。それぞれ担う役割は違うものの、普段から仕事とスタッフの両面で交流があります。

 この2社が組織改革をするに至った発端はSOMPOシステムズの浦川伸一社長が出席した2018年のある研修に遡ります。そこで浦川社長は某外資系保険会社が初めて挑んだアジャイル開発の事例を聞きました。実はこの事例は筆者が勤める戦略スタッフ・サービスが改革支援に入っており、事例そのものも筆者の以前の連載「現場を元気にする組織変革塾」の第16回と第17回(最終回)で紹介しています。

 当時のSOMPOシステムズは基盤系の大きな障害が幾つも発生し、品質向上の取り組みが道半ばの状態でした。もともとは2014年に本番障害が1000件を超えていた点を問題視し、会社として品質や生産性を高める策を幾つも考えて実行に移してきました。

 2015年から2017年にかけて障害の体系的な分析や生産性の見える化などをできるようになり、2018年からは個人の専門性やスキルをプロジェクトマネジャーやアプリケーションスペシャリストなど6分野にわたって高めるスペシャリスト認定制度も始めました。それでもやまぬ障害に対し、もっと効果のある、土台から変革できる方法を模索していました。

 一方のSSIでは、2017年に同社に転職してきた内山修一さんが2018年に社長に就きました。内山社長は2017年に日経コンピュータで始まった筆者の最初の連載を読んで、「チームコラボレーションから元気があふれ出ている」と感じ、「こんなチームになれたらいい」と思っていたそうです。

 社長就任後、内山社長はドレスコードを廃止したりワン・オン・ワン・ミーティングなどのコミュニケーション施策を進めたりしました。変革をどう進めようかと考えるなかで、筆者の連載のような取り組みを進めたいと思ったそうです。従来のやり方を変えるべく立てた目標は3つ。「大規模プロジェクト特有のやらされ感や疎外感から脱却して自律的なチームとなる」「チームセントリックな仕事の進め方によってチームで仕事を一緒にすることの楽しさや安心感を大いに感じられるようにする」「柔軟に俊敏にサクサク仕事が進んで気持ち良くなる」――でした。

 冒頭の某外資系保険会社の管理職と内山社長が懇意だったため、2018年秋に浦川社長と内山社長、SOMPOシステムズの中里幸雄常務執行役員デジタルトランスフォーメーション本部長の3人が某外資系保険会社から事例をヒアリングしました。これを機に浦川社長はSOMPOシステムズもアジャイルを導入して働き方を変えると決め、改革リーダーに中里常務執行役員を指名しました。中里常務執行役員は当社(戦略スタッフ・サービス)に連絡し、相談の結果、組織改革活動を始めることになったというわけです。