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画像分野のAI活用は大きく3つの要因で進化が加速している。異常検知での活用が普及しているが、検査対象によってアプローチを変える必要がある。動画が主体の場合、要約技術の活用も有効な手段となる。

 今回は画像分野のAI(人工知能)活用を取り上げる。画像分野におけるAI活用は大きく3つの要因により、進化が加速している。

 1つめがディープラーニング技術の進展である。計算処理を行う層を何層も積み重ね「深く」した構造を持つことで、従来の機械学習手法より豊かな表現が可能となった。

 2つめがハードウエアの進化である。現場に設置したエッジデバイスでも処理できる範囲が広がった。カメラも安価かつ高性能になり、ボディカメラの映像など入力データが増えているといった要素もある。

 最後が学習用のデータの充実だ。データセット自体の充実とともに、学習するデータをAI自体が生成する取り組みも進んでいる。

 今回は実際のビジネスの現場で活用が特に進んでいる、AIと画像を利用した異常検知を中心に解説する。AIは入力した画像を広い範囲で細部まで常時監視でき、動画から特定の部分を抜き出すのも容易だ。

分類か良品のみ学習か

 異常検知はその名の通り、通常や正常とは異なる状態を検知することだ。例えば、住居や建物の禁止エリアへの何者かの侵入、製造品の不良や機械の故障、従業員の危険行動といったものの検知が挙げられる。

 AIを活用しなくても異常を自動で検知できるシステムはあった。動画の前後フレームの差分を取る動体検知、人間が定めた判定ルールを基に異常を判断するルールベースの手法が用いられてきた。

 これに対してAI、特にディープラーニングの登場でより多くの特徴を容易に学べるようになり、自動監視の精度が飛躍的に向上した。

 こうしたAIによる異常検知には、大きく2つのアプローチがある。まずは正常(良品)と異常(不良)の種別それぞれを「カテゴリー」として定義し「分類問題」として定める方法である。

 異常判定と同時に各異常の種別を特定できる。しかし高精度に学習するには一定数以上の異常画像のデータがカテゴリーごとに必要となる。このため稀(まれ)にしか出現しない異常カテゴリーでは検出精度を上げにくい。また、定めたカテゴリー以外の不良が発生した場合の挙動が安定しないという課題もある。

 もう1つのアプローチは、良品学習と呼ばれる手法である。正常データを用いてその分布を定め、分布から外れたものを異常と判断する。異常の種類が判別できないが、正常データの分布から外れたデータを全て異常と判断する。分類問題と比較して発生率が低い異常の検知に強いというメリットがある。

図 異常検知の2つのアプローチ
図 異常検知の2つのアプローチ
「分類」「良品のみ学ぶ」のメリットとデメリット
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