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店頭の販売員が接客時に利用するデジタルツールを開発し、接客DXに取り組んでいる。接客DXの3つのポイントを踏まえ、「YourFIT365」などの新サービスを生み出した。YourFIT365の開発ではアジャイル開発、DevOps、基幹システムのAPI化を実践した。

 三越伊勢丹ではさまざまなデジタル化に取り組んでいます。この連載では、DXへの取り組みを支える基盤として整備している「DevOps基盤」および「ビジネスプラットフォーム」について紹介します。

 今回は三越伊勢丹におけるDXの取り組みの紹介と、基盤構築に至るまでの経緯、および、概要について説明します。

三越伊勢丹におけるDXとは

 三越伊勢丹におけるデジタルサービスへの取り組みは、百貨店事業そのもののDXと、百貨店事業の経験を生かしたオンライン事業の2つに分かれます。ここでは主に百貨店事業そのもののDXについて紹介します。

 三越の前身である「越後屋」は、約350年前に創業されました。訪問販売が中心だった着物の販売を店舗を構えた店頭販売に切り替え、さらに小分け販売、値札表示など、当時としては画期的な仕組みを実現し、多くの人に着物販売の裾野を広げました。

 それ以来、百貨店といえば店頭で接客をしながら販売するという形態が中心です。ECサイトというのは、いわば接客をセルフサービスにして接客レスで販売するチャネルです。そのため、百貨店が取り扱う商品の中には、ECサイトでの販売に適していないものもあります。

 そこで三越伊勢丹では、店頭接客のDXにも取り組んでいます。具体的には、店頭の販売員が接客時に利用するデジタルツールを開発し、これによって顧客の購買体験をより楽しいものにしていく取り組みです。

接客DXのポイント

 接客のDXにおけるポイントは3つあります。

 1つめは、顧客が最適な商品に出合えるようにすること。百貨店には多種多様な商品があり、選択肢が多くあるので、デジタルツールがその商品選択を支援します。

 2つめは、顧客がどこにいても店頭とつながっていられること。お客さまがデジタルツールを使うことで家でも仕事中でも店頭の様子が分かったり、店頭の商品が買えたりするようになります。

 3つめは、顧客を覚えておくこと。店頭の販売員が全ての顧客の接客内容を覚えておくことはできません。しかし、デジタルツールであれば前回の接客内容が記録されているため、これを踏まえながら新たな提案が可能になります。

図 接客DXにおける3つのポイント
図 接客DXにおける3つのポイント
デジタルツールでサービス向上(写真提供:三越伊勢丹)
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