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百貨店全体で接客DXを推進していくために、組織化により社内コミュニケーションを強化。アジャイル開発、DevOpsの実践、基幹システムのAPI化を進化させた。他部署・他チームとの調整をなくす目的で、2つのIT基盤を整備した。

 三越伊勢丹におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みとして、2019年に開始した「YourFIT365」は試金石となりました。YourFIT365は、顧客の足を3Dスキャナーで計測し、その足に合った靴をレコメンドするサービスです。

 今回はYourFIT365の成果を受けて実現した、DXの取り組みを加速させる組織化と、それを支えるIT基盤を紹介します。

DX推進に向けて組織化

 YourFIT365の成功体験は三越伊勢丹でも体制や環境が整えばDXが実現できるという自信につながりました。一方で、今後を見据えた場合には課題がありました。YourFIT365は「靴売り場に閉じたDX」であったため、関係者や扱うべきデータが少なく、売り場、開発チームとの間で緊密なコミュニケーションを図ることができました。しかし今後、百貨店全体における接客DXを推進していくためには、より多くの売り場や関係者とコミュニケーションをしていく必要があります。

 そこで、より強固な組織化が必要と考え、YourFIT365のチームを中心に、2019年10月に株式会社アイムデジタルラボ(略称IMDL)を立ち上げます。IMDLの役割はDXに必要なノウハウの集約にありました。

 外部でデジタル化を推進していたエンジニアやサービスデザイナーを採用するとともに、三越伊勢丹で業務やシステム開発を行ってきた人材を集めました。IMDLは三越伊勢丹の組織から一歩離れた出島なので、さまざまな部門に働きかけながらDXの推進が可能になります。

 さらに翌2020年4月には、三越伊勢丹側の体制も整備され、接客DXで作られたデジタルツールを各店頭に導入し、デジタル化を推進するための部署としてデジタル推進チームが設立されました。

 YourFIT365の成功体験からは技術面でも収穫がありました。例えば、開発チームによるインフラ構築や、基幹システムのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)呼び出しといった取り組みに効果があったことから、これらを本格的に整備するためにDevOps基盤、およびビジネスプラットフォームと呼ばれる構想を取りまとめました。

 こちらも2020年4月、グループの情報システム子会社である三越伊勢丹システム・ソリューションズ(略称IMS)に専門部署が立ち上がり、IMDLと協業して整備を開始しました。

図 三越伊勢丹における接客DX推進の組織
図 三越伊勢丹における接客DX推進の組織
3社を連携
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