DXサービスの開発では、基幹システムのデータや機能が必要になる。各種連携を容易にするために構築したのが「ビジネスプラットフォーム」だ。API連携や非同期ストリーミングなど適切な技術選択が重要である。
三越伊勢丹のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する目的で、筆者らは2つのIT基盤を整備しました。1つは、アプリケーションのインフラ構築や運用を効率的に行うための「DevOps基盤」。もう1つが、基幹システムとの連携を容易にするための「ビジネスプラットフォーム(BPF)」です。
今回はビジネスプラットフォームについて、構築の狙いや実装した機能などを解説します。
個別システムとの調整を不要に
三越伊勢丹の情報システムは目的によっていくつかの基幹システムに分かれています。代表的なのが商品、在庫、価格、伝票、会員、決済、売上、物流などです。
これらのシステムは取り扱うデータや業務の特性によって分離されており、それぞれがシステム連携しています。一方で、DXサービスというのは顧客視点でデザインします。そのためDXサービスによって提供される一連の流れはいくつかの基幹システムをまたがるように機能やデータを使います。
例えば、商品購入を行うようなサービスの場合、ユーザーの体験としては一連の流れであったとしても、以下のように各基幹システムのデータや機能を利用します。
- 会員情報を呼び出す
→会員管理システム - 商品情報を表示する
→商品管理システム - 価格と在庫を表示する
→在庫管理システム、価格管理シス テム - 決済する
→決済システム、ポイント管理シス テム - 売上計上する
→売上管理システム - 送付する
→物流管理システム
このようにDXサービスでは複数の基幹システムのデータや機能を利用します。こうした場合、個別に基幹システムとの調整をしないで済むようにと構築したのがビジネスプラットフォームです。