
2008年度に製造業で過去最大規模の赤字を計上した日立製作所が覚醒し始めている。構造改革を断行し、連結営業利益は2期連続で過去最高を更新した。けん引役は「マル情」と呼ばれるIT関連の部隊だ。データを価値に変える「Lumada」を旗印に、全社を挙げたデジタル改革で成長を下支えする。一方、IoT基盤として紹介されることが多いLumadaは、その実態が見えづらい。Lumadaとは何か。約30万人の従業員を抱える巨艦・日立が描く成長の青写真とは。そのヒントを求めてインドに飛んだ。
30万人で挑むデジタル改革
2008年度に製造業で過去最大規模の赤字を計上した日立製作所が覚醒し始めている。構造改革を断行し、連結営業利益は2期連続で過去最高を更新した。けん引役は「マル情」と呼ばれるIT関連の部隊だ。データを価値に変える「Lumada」を旗印に、全社を挙げたデジタル改革で成長を下支えする。一方、IoT基盤として紹介されることが多いLumadaは、その実態が見えづらい。Lumadaとは何か。約30万人の従業員を抱える巨艦・日立が描く成長の青写真とは。そのヒントを求めてインドに飛んだ。
[PART 1]
国内のメガバンクとゆうちょ銀行の合計を上回る台数のATMを運用し、日本のセブン‐イレブンの20倍以上のPOS端末を管理する̶̶。知られざる日立のインド事業。そこにはGAFAの先を見据えた壮大な野望がある。
[PART 2]
日立の情報・通信システム部門、通称「マル情」の営業利益率が10%を超えた。富士通とNECに次ぐ国内IT業界の「三男坊」が、3社の中で一番乗りを果たした。次のハードルは全社での利益率2桁。「Lumada」事業の成否が鍵を握る。
[PART 3]
顧客と共にITサービスを「協創」して横展開し、ひたすら改良を続ける̶̶。IoT基盤「Lumada」の拡販に向けた、日立の必勝パターンだ。課題は相手探しと「機能」の品ぞろえ、改良スピードにある。
[PART 4]
日立がLumadaで目指すのはITサービスの拡販だけではない。強みのITとOTを融合し、顧客にワンストップで届けるための商材と組織作りにある。出身部署から離れ、異分野に飛び込んで「融合」を体現する3人の猛者に迫る。