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金融から製造・サービス業へ、大手から中堅中小へ――。PC操作を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が一段と身近な存在になりつつある。先行企業への取材を基に、RPAを徹底的に使い倒すための勘所と注意点を48個示そう。

製造業の営業支援から通信事業者の顧客データ管理、中小企業の人手不足対策に官公庁の定型業務まで。業種業態、会社の規模を問わず、活用の余地はきっとある。

 「自らがワクワクし、毎日が楽しみになるような働き方を実現しよう」。サントリーホールディングス(HD)は2018年1月からRPAを使った働き方改革に本腰を入れている。適用先は経費精算などのバックオフィス業務だけではない。営業支援や在庫管理など、製造業の中核業務にもRPAを積極的に活用している。

RPA1 製造業にも役立つ

 営業支援については、Excelファイルにまとめた数百件の得意先ごとにメールを作成する作業を自動化。在庫管理では商品の在庫が一定数を切ると営業担当者に補充を促すメールを自動送信するソフトロボが稼働している【RPA1】。現場の担当者は得意先のアドレスや宛名の間違いや、在庫不足による納期遅延を回避できるようになった。

 「当初は金融機関の事務処理に適用されるケースが多かった。当社は営業などの現場の担当者1人ひとりの仕事にもRPAを生かせるとみて、活用を進めている」。サントリーHDの情報システム開発を手掛けるサントリービジネスシステムの大野仁史グループ情報システム部長は、製造業の中核業務にRPAを使う意義をこう語る。

図 サントリーホールディングスが社内に公開しているRPA関連情報の例
図 サントリーホールディングスが社内に公開しているRPA関連情報の例
(画像提供:サントリーホールディングス)
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RPA2 働き方改革の旗手に託す

 サントリーHDはRPAの普及にも工夫を凝らす。2017年1月から働き方「ナカミ」改革と題し、グループ会社の部署単位で現場の仕事に精通したキーパーソンをリーダーとして任命。各部署の働き方の課題解決に当たらせてきた。2018年1月からは各リーダーに、RPAのソフトロボの現場導入も託した【RPA2】。

 RPAの全社展開に先立ち、サントリーHDは2017年1月から約1年かけてRPAの技術調査やPoC(概念実証)に臨んだ。「実際に動かしてみると、課題が見えてきた」(大野部長)。

 具体的には「搭載メモリー容量が4ギガバイトのPCでソフトロボを稼働させるとスムーズに動かない」「ネットワークの接続が切れたのにソフトロボがそのまま処理を続けようとした」といった課題が浮上した。「PCの搭載メモリーは8ギガバイト以上にする」「回線接続が切れた時に備えて、再接続の手順をソフトロボに組み込む」といった措置を講じることにした。

RPA3 試しに動かして実体をつかむ

 PC操作をツールに記録させるだけで済むといったRPAツールを使ったソフトロボ開発の特徴を生かして、ソフトロボが想定通りに動くかをまめに確かめた【RPA3】。3カ月かけてソフトロボの動作検証に取り組んだ結果、「2017年11月には安定稼働できるめどをつけることができた」(大野部長)。

RPA4 大量の事務処理と好相性

 大量の書類などを基にPCで操作する業務は金融機関特有のものではない。例えば携帯電話会社は法人顧客の企業ユーザーから寄せられる社員数万人分の加入手続きを短期間で処理する必要がある。大部分の作業はシステム化してはいるものの、データ入力作業など現場担当者の負担はそれなりにある。こんな課題の解決に向けてソフトバンクは2017年1月からRPAの導入を進めている【RPA4】。

 顧客企業から届いたExcelファイルを開き、社員リストのデータを1件ずつ抜き出して携帯電話サービスの管理システムに入力するソフトロボなどを稼働させている。「現場担当者の残業時間を減らせた」(ソフトバンクの小齊平康子RPA推進室担当課長)。

RPA5 対象の部署を絞り込む

 当初は10部署に絞って導入【RPA5】。ソフトロボの開発はExcelマクロを使いこなせる業務担当者に任せた。「ITの素養があり、RPAツールのマニュアルを見ただけで開発できた。業務上の課題も的確にとらえていた」と小齊平担当課長は振り返る。