営業スタッフに作業をひも付ける際は、十分に検討し、全員の合意を得る。希望していない作業を割り当てる場合も生じるが、全体最適を求めよう。スタッフの経験や希望を考慮してメインやサブの組み合わせを決めていく。
この連載では主にシステムエンジニア(SE)出身の営業担当者に向けて、効果的に営業活動を展開するチーム営業の進め方を説明します。
チーム営業で作業分担をどのように決めるかをおさらいします。
- 営業の作業を洗い出す
- スタッフのプロファイルを作成する
- 各作業に最適なスタッフをひも付ける
- 全体を見ながら最適化を図る
- 各スタッフと個別に調整する
- スタッフと合意し担当分けを確定する
担当分けには、営業スタッフに作業の目的を意識してもらう必要があると前回触れました。作業の効率化だけでなく、作業の質の向上につなげるのが狙いです。
とはいえ、いきなり「作業の目的を意識して」と指示しても、スタッフは「突然そんなこと言われても」と戸惑ってしまうでしょう。そこで必要になるのが、「5.各スタッフと個別に調整する」「6.スタッフと合意し担当分けを確定する」という手順です。
事前の検討が大切
営業に必要な作業を洗い出してスタッフを割り当てる作業、すなわち「4.全体を見ながら最適化を図る」までが一通り終わったら、それぞれのスタッフと話し合い、調整を進めます。
営業マネジャーはスタッフに対して、以下のように話します。
今度、営業体制を立ち上げるうえで、必要な作業を洗い出してみたんだ。この作業は……(一通り説明する)。
Aさんには、作業1と作業2を担当してもらおうと考えている。作業1はきっとAさんの経験やノウハウを生かせると思う。作業2に関しては、経験はないけれど、一度取り組んでみたいと希望していたよね?(Aさんはうなずく)。だから今回、ぜひチャレンジしてもらいたいと考えているんだ。
どちらの作業も営業組織にとって大切なものだ。私としてはぜひ、Aさんに引き受けてほしいと思う。率直な意見を聞かせてほしい。
当然、思い通りに事が運ぶとは限りません。意見の食い違いが生じることもあるでしょう。しかし最終的に、全てのスタッフに対して作業のどれかを割り当てる必要があります。
そのためにも打ち合わせる前に、スタッフと作業をひも付けた結果が本当に適切なのか、他の組み合わせの方がより適切ではないかなどを十分検討する必要があります。最終的に作業の割り当てに対して合意を得られるように進めていくためです。
ひも付けた結果に十分確信が持てないのであれば、いくつかの選択肢を用意しておくのが有効です。
こうした準備をしたうえで、スタッフと打ち合わせをします。全てのスタッフと打ち合わせが終わったら、それを基にひも付けの結果を見直し、作業の分担が組織全体として最適な形になるよう調整します。
その際に、どうしてもスタッフの希望とは異なる作業を割り当てざるを得ないケースも出てきます。以下のような内容も伝えておくとよいでしょう。
今回、打ち合わせた内容に沿って全体の作業分担を決めていくつもりだ。できる限りAさんの希望をくんで調整するが、全体のバランスを考えて、第1希望の作業を割り当てられない場合があるかもしれない。そのときも、メイン担当として作業に取り組んでもらえないだろうか。
ここまで来たら、もう一息です。調整した作業分担について、各営業スタッフの合意を得ます。合意を得て初めて、作業分担を確定します。