
日本企業のネット戦略に2つのタイムリミットが迫っている。1つは2022年前半にも訪れる「脱サードパーティークッキー」。利用者の嗜好に沿ったネット広告の配信技術として普及したが、プライバシー侵害の懸念が高まっていた。巨大IT「GAFA」の一角、米グーグルと米アップルが旗を振り、同クッキーの廃止と代替技術の開発を急いでいる。急成長中のネット広告業界が打撃を受けるだけでなく、ネット上で事業を営む全企業に影響が及ぶ。もう1つの期限は2022年4月。改正個人情報保護法の施行に伴い、Web利用データの「同意取得」に関する新たな規制が加わる。Webシステムの改修や情報管理の仕組みづくりが必須だが、準備済みの企業は1割に満たない。批判が高まるネット広告業界を浄化し、プライバシー保護とデータ活用の両立は進むのか。残り1年を切った攻防を追った。