再び小中学校が休校する――。2021年6月3日、沖縄県は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、県内の小中学校に臨時休校を要請、7日から順次公立の小中学校が休校に入った。
ただ今回の休校は2020年春の臨時一斉休校とは様相が異なる。政府が進める「GIGAスクール構想」によって小中学生に1人1台の端末が配られたからだ。オンライン授業で学びを継続できる――。だが実態は端末の配布から日が浅いこともあり、オンライン授業を始めた学校は一部にとどまる。
2021年4月19日、大阪市の松井一郎市長は政府が緊急事態宣言を発令した場合、市内の小中学校を原則オンライン授業に切り替える意向を示した。GIGAスクール構想で3月末までに市内の小中学校に1人1台の端末の配備を終えたことが理由だ。
5月中旬には自宅でのオンライン学習も取り入れている。ただし、オンライン学習については「一部の時間帯」という条件が付いた。市内の学校が同時にインターネットにつなげると通信回線に負荷がかかりすぎるためだ。負荷を分散するため地域ごとに双方向通信をする日時を分けているという。
端末は整備されたものの、それを活用するネットワークや、ICTを活用した授業をするための支援が間に合っていない。そんな状況が浮かび上がってきた。
96.5%が1人1台の配備完了
2021年5月18日、文部科学省は2021年3月末までにおよそ96.5%の自治体で、生徒の手元に端末が渡りインターネットの整備を含めて学校での利用が可能な状態になっていると発表した。政府がGIGAスクール構想を最初に発表した2019年12月の段階では2024年3月末までの「1人1台」実現を目指していたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて目標を3年前倒しした。「4年間で整備する計画が1年弱での整備になった。急ピッチで進めなくてはならない中、学校設置者(市区町村など)や各学校が努力し、民間企業も協力してくれた結果だとまずは受け止めている」(文科省の今井裕一初等中等教育局情報教育・外国語教育課課長)。
しかし端末があっても、校内でICTを活用した授業がすぐにできるわけではない。端末を自宅に持ち帰ってオンライン学習に利用するとなるとさらにハードルは上がる。児童・生徒の家庭で通信環境が整っているかどうかという要因も加わるからだ。