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円安、電力料金高騰、半導体不足の三重苦でITのコストが上がっている。ドル建ての海外クラウドは円安の直撃を受けてコストが上昇。ソフト・ハード、データセンター、オフショア開発も中長期でみれば影響は必至だ。

日本銀行が公表している東京外為市場の2021年6月1日から2022年6月27日におけるスポットレート(17時時点)のデータを基に、ドル円レート推移のグラフを作成(写真:Getty Images)
日本銀行が公表している東京外為市場の2021年6月1日から2022年6月27日におけるスポットレート(17時時点)のデータを基に、ドル円レート推移のグラフを作成(写真:Getty Images)
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 「ドル建ての海外クラウドサービスで支払額が増えている」「業務パッケージの割引率が悪化し、実質値上げになった」――。

 IT製品やITサービスにコスト高の波が広がり、ユーザー企業の間でこんな悲鳴が上がっている。影響は海外ベンダーの製品やサービスだけではない。富士通やNECは2021年末~2022年2月にかけてPCサーバーを値上げした。サーバーレンタルやハウジングなどの国内で提供するデータセンター(DC)関連サービスも「原価が上昇しており、2022年夏には価格転嫁を交渉せざるを得ない」(NTTデータ)とITベンダーは訴える。

 海外と国産を問わずITサービスの値上げ圧力が高まっているのは、主に3つの要因が複合している。「円安」「半導体不足」、それに原油価格上昇による「国内電力料金の高騰」である。

図 IT関連リソースの価格に影響する環境変化
図 IT関連リソースの価格に影響する環境変化
円安・電力料金高騰・半導体不足のトリプルパンチ ※1 2021年6月22日の1ドル110.49円との比較(写真:Getty Images)
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 円安は2022年3月から急激に進行し、2022年6月22日には136.24円(東京外為市場のスポットレート、17時時点)と、1年前の2021年6月22日の1ドル110.49円(同)から23.3%下落した。その影響は、米アマゾン・ウェブ・サービスの「Amazon Web Services(AWS)」や米グーグルの「Google Cloud」などドル建て料金の海外クラウドサービスで直接的に現れている。

 海外製品でも円建て価格の業務パッケージでは、現時点でまだ価格改定の動きが見られない。しかし影響は見えない形で広がっている。ユーザー企業にIT調達などを助言するガートナージャパンの海老名剛バイスプレジデントは「契約更新時に保守サービスの割引率が悪化するなどの形で、海外ベンダーから実質的な値上げを求められるユーザー企業が増えている」と話す。