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Amazon Web Servicesなどの海外クラウドの利用コストが増大している。ドル建て料金の場合、円安になるほど円換算のコストが上昇するからだ。クラウドのコストをどう抑制するか。3つのポイントを解説する。

 「円安の影響で海外クラウドの利用料金が増大している。対策を検討中だ」。Amazon Web Services(AWS)のユーザーで、母親向け情報サービス「ママリ」を運営するコネヒトの永井勝一郎テクノロジー推進部部長は、急激な円安によるクラウドコストの増大について不安を語る。

 AWSをはじめとするクラウドのコストを削減するにはどうしたらよいのか。クラウドを利用する企業のエンジニアやコスト削減に詳しいベンダーのエンジニアに取材し、効果の大きい削減策を聞いたところ、3つのポイントが浮かび上がった。①長期予約割引を使う、②コンテナでリソースを余さず使う、③ストレージのクラスを使い分ける、である。以下で順に解説する。

①長期予約割引を使う

 一般的な企業のクラウド利用で料金の大部分を占めるのが仮想マシンだ。そのコストを減らすには、開発環境に放置されているような使っていない仮想マシンを削除したり、過剰スペックを適正化したりするのが基本である。

 そのうえで検討したいのが、長期予約の割引オプションだ。AWSの場合、「リザーブドインスタンス(RI)」と「Savings Plans(SP)」という2種の割引オプションを提供している。どちらも、ユーザーが1年間または3年間の利用を約束する代わりに割引を受ける仕組みだ。支払いは月ごとだけでなく、一括または部分的な前払いが可能である。前払いすれば、その後の為替変動の影響を排除できる。

表 AWSで1年または3年の利用を予約する割引プランの例
長期予約割引は仮想マシンに限らない(出所:米アマゾン・ウェブ・サービスの資料を基に日経コンピュータ作成)
表 AWSで1年または3年の利用を予約する割引プランの例
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 AWSを利用するJCBはRIやSPを導入している。片岡亮介システム本部デジタルソリューション開発部部長は「割引になるだけでなく、前払いにより為替レート変動の影響を受けずに済み、費用の見通しが立ちやすい点でも価値が高い」と話す。

 RIやSPのような長期予約の割引はもともと主として仮想マシンやデータベースが対象だったが、現在は様々なサービスで適用可能になっている。AWSではコンテナ基盤の「AWS Fargate」、イベント駆動型コード実行の「AWS Lambda」、データウエアハウスの「Amazon Redshift」なども対象だ。