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適格請求書(インボイス)制度導入、ISDN廃止、欧州SAPのサポート終了--。2023年から2025年にかけて、企業の受発注システムに3つの危機が迫りつつある。「まだ先」などと油断せず、今すぐに対応策を検討する必要がある。

 2020年代前半、日本の受発注システムに革命が起こる。その起爆剤として注目を集めるのが、企業間で受注、発注、納品といった取引に関わるデータをやりとりするEDI(電子データ交換)の新仕様「中小企業共通EDI(共通EDI)」だ。

図「中小企業共通EDI」の普及フェーズ
図「中小企業共通EDI」の普及フェーズ
EDIの刷新はインボイス対応やISDN終了が契機に(出所:ITコーディネータ協会の資料を基に日経コンピュータ作成)
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 共通EDIはITコーディネータ協会(ITCA)が中小企業の視点で考案した仕様だ。2018年3月に初版を公開、2019年6月1日には軽減税率に対応した第2版にバージョンアップした。

 名称に「中小企業」とあるが、中小企業の取引先である大企業にも普及が見込まれる。先陣を切った1社が花王だ。現在、業務用製品の取引について共通EDIへの移行を推し進めている。既に数百の取引先に依頼し、花王への発注をFAXなどから共通EDIに切り替えてもらったという。

個別EDIの垣根を越える

 共通EDIの特徴をひとことで言えば「異なるEDI同士をつなげること」となる。データ仕様の違いを吸収・変換するITサービスを介することで、異なるEDIを使う企業同士でも受発注データをやりとりできるようにする。

 これまで発注者である大企業は、受注者である下請けの中小企業に対して独自のEDIを導入させてきた。1990年代に導入が進んだISDN(総合デジタル通信網)ベースのEDIが典型例だ。続いて2000年代以降はインターネットとWebブラウザーを利用する「Web-EDI」の導入が進んだ。「流通BMS」など業界ごとの標準的なEDIを整備する動きもあった。

 これらのEDIはいずれもお金を払う側の大企業が発注者として主導権を握っており、「発注者にメリットがある一方、受注者にはあまり利点がない」(ピー・シー・エーの水谷学取締役相談役)ものだった。このことが中小企業への普及を遅らせた。ITCAによると、EDIを活用する中小企業は全体の約2割にとどまる。結果として大企業もFAXなどによる非効率な業務を継続せざるを得なかった。

 既存のEDIが同じ通信サービスの会員同士しかつながらない「パソコン通信」だったとすれば、共通EDIは垣根を越えてつながる「インターネット」を目指すものだ。こうした特徴から、共通EDIは「次世代のEDI」とも呼ばれ、普及への期待が高まっている。

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