2021年4月からSOMPOグループはCDOを2人体制とした。奇遇にも15年来の友人だった楢崎浩一氏とアルバート・チュー氏だ。シリコンバレーで出会った2人がSOMPOのDXのこれまでとこれからを語り合った。
(聞き手=外薗 祐理子、高槻 芳、馬本 寛子)
SOMPOグループのDX(デジタルトランスフォーメーション)についてどう評価していますか。
楢崎 現時点での評価はCかC+ですね。及第点ぎりぎりというところではないでしょうか。
SOMPOホールディングス(HD)はグループ社員6万人、連結売上高約3兆8463億円と規模が大きく、1887年創業と歴史も古い。そのいわば巨大な空母が進むコースを変えなければなりません。一部ではなく全体が同じ方向に向かわなければ転覆します。それが最も難しい点ですね。
チュー 楢崎さんとは15~16年前に知り合いました。当時はPalm OSを開発する米パームソースに勤めていて、同社を買収したACCESSに楢崎さんがいました。
楢崎さんが2016年にSOMPOHDのCDO(最高デジタル責任者)に就いて米国に出張で来た際、ランチを食べながらSOMPOデジタルラボ(SDL)をシリコンバレーに設けると聞きました。
私は多くのスタートアップを知っており、シリコンバレーのエコシステムの中にいます。コンサルタントとしてSDLに関わり始めました。
すぐにSOMPOHDはユニークな会社だと気づきました。「DXとはAI(人工知能)などのデジタル技術を使って既存事業を伸ばすことだ」と多くの人が考えるなか、桜田(謙悟SOMPOHD社長)さんは、データを使って人類がもっと強じんになるための新しいソフトウエアプラットフォームをつくろうとしているからです。型にはまらないその考え方は米国ですらユニークで、私もそこに参画したいと思いました。