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「議論の道筋やストーリー構成」に関するスキルを解説する。会議前には、結論、道筋、情報、時間、参加者、意見について熟慮しておく。それなりの時間と準備が必要だが、会議をうまく進行するために欠かせない。

 今回は、前回紹介したファシリテーションに必要な6つのスキルの内、「議論の道筋やストーリー構成」に当たる部分を深掘りする。

会議前に熟慮しておくべき6項目

 皆さんが議事進行役を務めた際、どのようにその場に臨んだかを思い出してほしい。多くの人は、漠然と与えられた議題や出席者の確認、会議室が使える時間などは確認しただろう。

 ところが、その程度の準備で会議に臨むと、議論の流れやメンバーからの発言次第で、議事の方向性や必要とされる時間が大きな影響を受けてしまう。少なくとも会議の前日までに、数時間から数日かけて以下の6つの項目について熟慮しておくべきだ。

  • (1)結論:最終的に出すべき結論は何か?
  • (2)道筋:結論を導くには何をどう決めればよいか?
  • (3)情報:事前に収集が必要な情報は何か?
  • (4)時間:全体および各フェーズにどのくらい時間をかけるか?
  • (5)参加者:必要・適切な参加者は誰か?
  • (6)意見:どのような意見が出そうか?

 これら(1)~(6)は必ずしもこの順番で考える必要はないが、(1)の結論はその他全てに影響するため、最初に考えることをお勧めする。主に(1)(4)(5)の要素などを織り込んだ「アジェンダ」と呼ぶ事前計画書を作成することが、国内外を問わずファシリテーションの世界では推奨されている。

 では、各項目を具体的に見ていこう。

図 ファシリテーターが事前に考えておくべき項目
図 ファシリテーターが事前に考えておくべき項目
6つの観点で会議に備える
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