配車アプリから半導体、自動運転、金融、医療、さらには衛星通信、農業、鉱山開発まで――。孫正義氏が率いるソフトバンクグループと10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資先は一見するとバラバラであり統一感が全くない。「情報革命とか言いながら、結局は金儲けだ」との批判もある。だが孫氏の頭の中では、全てがつながっているようだ。キーワードは「AI群戦略」。AI(人工知能)を駆使して様々な産業を破壊し、再創造する威力を秘めた企業の群れを作っているという。果たして本当なのか。出資先への取材を基に孫氏の目利き力を検証する。

特集
AIに10兆円、孫正義の勝算
目次
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孫正義の異色出資、衛星と鉱山とVRの勝算
孫氏の出資先は衛星通信やリチウム鉱山の開発会社にまで及ぶ。AI(人工知能)や「情報革命」と本当に関係があるのか。出資先のCEOが日本メディアの取材に初めて応じ、事業構想を明かした。
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孫氏が誇るライドシェア連合、AI武器に世界進出
「こんなばかな国がいまだにあることが信じられない」。日本のライドシェア規制を痛烈に批判するソフトバンク孫正義氏。中国 滴滴出行に95億ドル、米ウーバーに77億ドルを出資するなどライドシェアリング事業に力を注ぐ理由を見てみよう。
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事故と渋滞のない世界へ、孫氏が注目するリアルタイム技術
IT大手や自動車会社が開発を競う自動運転技術の開発。人々のライフスタイル変革を目指す孫氏は当然、この分野の企業にも出資。リアルタイム技術を駆使して、事故や渋滞のない世界を目指す。
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変貌するアーム、AIとIoTの基盤を牛耳りたい孫氏
ソフトバンクが買収した英アーム。同社はハードウエアだけでなくソフトウエアやサービスの開発強化を急いでおり、孫正義が描くAI戦略の中心的な存在といえる。このほか自動運転やビジネスチャットといった注目分野に強みを持つ会社に投資するなど、AIやIoTの基盤を牛耳ろうとする孫氏の狙いが見えてくる。
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医療と金融と農業をAIで破壊、孫氏期待の米中4社
既存のプレーヤーに任せているだけでは難しい――。医療や金融、農業といった業界が抱える課題の解決に向けて、孫正義氏はAIを武器にした新興企業に熱心に投資し続ける。
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AI時代の勝者になれるか、孫正義に突きつけられた課題
ソフトバンクグループの歴史はM&A(合併・買収)の歴史だ。同社を率いる孫正義氏の視線は自社の成長から、いまや未来の強者連合作りへと移りつつある。
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後継者は10年以内に、孫正義に聞くAIの未来
10兆円ファンドによる「群戦略」の特徴と狙いは。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は大体のケースにおいて20%から40%近い株式を持ち、筆頭株主あるいはそれに近い立場で、その会社の経営に影響を与えるグループを構築しています。情報革命のシナジーを出し合う戦略的集団だと我々は捉えています。