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システム子会社の在り方を変える──。そんな動きが大企業を中心に活発になっている。クボタやSUBARUは本体に吸収し、ニトリホールディングスなどは「受け皿型」子会社を新設。企業の成長にデジタル活用が不可欠となった今、IT部隊の改新は待ったなしだ。

 「デジタル戦略を担うIT部隊を子会社にしているメリットはなく、むしろ弊害ばかりだ」――。クボタの吉川正人副社長執行役員企画本部長兼グローバルICT本部長はこう強調する。

 同社は2023年4月にシステム子会社のクボタシステムズを吸収合併する予定だ。600人弱のIT人材をクボタ本体に迎え入れ、ITの人的リソースを一本化する。「吸収合併は一にも二にもクボタのDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるため。クボタに欠かせない改革だ」(吉川副社長)。

大手が相次ぎ子会社吸収へ

 クボタだけではない。ここにきて、大企業を中心にシステム子会社を本社が吸収する動きが活発になっている。

 SUBARUは2022年2月、子会社のスバルITクリエーションズを2024年4月に吸収合併すると発表した。住友化学は2021年7月に、デンソーは2020年10月に、コスモエネルギーホールディングスは2020年4月にそれぞれシステム子会社を吸収合併している。

表 システム子会社の改新に乗り出す大手企業の例
システム子会社の改新が吸収合併、受け皿の形で活発に
表 システム子会社の改新に乗り出す大手企業の例
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(写真:宮田 昌彦(クボタ)、村田 和聡(カインズ)、日刊工業新聞/共同通信イメージズ(デンソー)、北山 宏一(住友化学))
(写真:宮田 昌彦(クボタ)、村田 和聡(カインズ)、日刊工業新聞/共同通信イメージズ(デンソー)、北山 宏一(住友化学))
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 各社に共通する狙いはIT部隊を事業戦略の中枢に置くこと。かつて子会社として切り離したIT部隊を本体に呼び戻すことで、迅速で柔軟なデジタル施策を実行できる体制を整える。

 「親による子の呼び戻し」が広がっている背景には、システムの開発・運用機能が別会社にある体制がDX時代には非効率になっていることがありそうだ。現在あるシステム子会社の多くは1980~1990年代に設立された。その際、親会社はシステムの企画機能のみを本体に残し、開発・運用機能をシステム子会社に切り出していった。

図 システム子会社改新が活発になる背景
図 システム子会社改新が活発になる背景
DX時代にシステム子会社のデメリットが目立つように
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 調査会社アイ・ティ・アールの内山悟志会長兼エグゼクティブ・アナリストによれば、こうした子会社化は「ITはコア業務ではないため本体から切り離す」という考えによるものと話す。子会社化の狙いは「外販を強化する」「IT人材を採用しやすくする」など様々あるが、「最大の狙いは人件費の抑制によるコスト削減だ」(内山会長)。