
(写真:陶山 勉)
損害保険は人々や企業が抱えるリスクに備える存在だ。しかし現在、損害保険事業そのものが、リスクにさらされている。自然災害の激甚化による保険金支払い額の増加や、自動車市場の構造変化などに伴う保険料収入の減少などだ。こうした事業リスクに、損保会社はどう備えるのか。三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に置くMS&ADインシュアランスグループホールディングスは、3つのD(デジタル)戦略で、この難局に立ち向かおうとする。その実像をリポートする。
損保のリスクにデジタルで備える
損害保険は人々や企業が抱えるリスクに備える存在だ。しかし現在、損害保険事業そのものが、リスクにさらされている。自然災害の激甚化による保険金支払い額の増加や、自動車市場の構造変化などに伴う保険料収入の減少などだ。こうした事業リスクに、損保会社はどう備えるのか。三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に置くMS&ADインシュアランスグループホールディングスは、3つのD(デジタル)戦略で、この難局に立ち向かおうとする。その実像をリポートする。
[PART 1]
MS&ADグループが、基幹系の刷新やAI(人工知能)の導入を急ピッチで進めている。その背景にあるのは、グループの本業である損害保険事業の先行きに対する危機感だ。デジタルを活用し、既存業務を変革しつつ、新規事業の創出や海外事業の拡大を目指す。
[PART 2]
MS&ADグループはDXを「既存損保事業の業務変革」と位置付ける。既存事業における最大の課題は、11年連続の赤字に苦しむ火災保険の収益改善だ。AI(人工知能)によって損害調査の時間短縮や、営業効率の改善を目指す。
[PART 3]
損保事業の屋台骨を支える自動車保険に、市場縮小の危機が迫っている。自動車保険の減収を補う新しい柱を、デジタルで生み出さなければならない。新規事業を生み出すDIと、海外に活路を見いだすDGに未来を託す。