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 開発スピードを上げると同時にシステムの品質を保つには、テスト工程が鍵を握る。品質を担保する工程であるのに加え、大きな工数を要するからだ。

 ただ開発現場によっては、画面定義書を見ながらテストケースを作成し、キー入力と目視でチェックするといった作業を繰り返すことがある。複雑なシステムを改修する際は、変更した箇所の影響を確認する回帰テストを人手で行うケースも多い。テスト作業の多くは労働集約型になりがちだ。

 こうしたテストの工数を減らせる「テストAIツール」が登場している。以下でSBI生命保険とZOZOの事例を取り上げる。

図 SBI生命保険がテストAIツール「MLET.Ⅱ」で自動化したタスクと効果
図 SBI生命保険がテストAIツール「MLET.Ⅱ」で自動化したタスクと効果
テストのタスクを9割以上自動化
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システム連携テストの工数を半減

 SBI生命保険はアミフィアブル(東京・目黒)のテストAIツール「MLET.Ⅱ(エムレット ドットツー)」を採用し、工数削減に取り組んでいる。同ツールは専用フォーマットで記述された画面定義書や、テスト対象画面をAIで解析し、テストデータやテストケース、ユーザーインターフェースの自動テストツール「Selenium(セレニウム)」のテストスクリプトなどを生成する。

 SBI生命保険は全国の金融機関と、自社の団体信用保険システムとの接続を進めている。金融機関が住宅ローンを融資する際、団体信用保険としてSBI生命保険の商品を販売するためだ。金融機関との接続には、保険加入者の情報をやり取りするのに疎通テストや画面経由の帳票出力テストなどが必要になる。SBI生命保険の池山徹取締役兼執行役員情報システム部担当団体保険部担当は「テストに圧倒的な作業量が必要となり、手作業では限界だった」と説明する。

 根強い住宅取得需要もあり、SBI生命保険のシステムと接続する金融機関の数は増加。2022年7月だけでも約20の金融機関と新規に接続しなければならず、今後の増加も見込まれていた。SBI生命保険はテストを手作業で実施していたが、「このままではテスト工数が膨れ上がり、金融機関との接続が遅延してしまう恐れがあった」(池山取締役)。

 金融機関との接続が遅れれば、それだけ商機を逸してしまう。そこでSBI生命保険は2021年からPoC(概念実証)を進めていたMLET.Ⅱを活用することにした。画面経由の帳票出力テストと画面間を連携する際のリグレッションテストをMLET.Ⅱで実施。さらにアミフィアブルが現在開発中の「バッチ処理の結果をテストする仕組みも一部取り入れた」(SBI生命保険の狩野泰隆情報システム部技術担当部長)。

 MLET.Ⅱの導入効果はすぐに表れた。手作業で実施していた帳票出力テストは8割の工数削減につながった。既にSeleniumによるテスト自動化が進んでいた画面間連携テストでも3割強の工数を削減できたという。「システム連携テスト全体で試算すれば、テスト工数が半減した」(狩野担当部長)。

 テスト工数の削減に成功したSBI生命保険だが、テストAIツールの導入により新たな課題も見つかった。それがテストシナリオの切り分けだ。

 MLET.Ⅱによる自動化が進むと、最初の入力画面から最後の出力画面までのテストシナリオをつくって一気にテストできるようになる。しかし経験的に、一気にテストを実施して不具合を洗い出すと、改修作業まで含めて効率が落ちる場合もあるという。そこで「テストシナリオの適切な分割に取り組んでいる」(狩野担当部長)。