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家の中の家電などをスマホから遠隔操作できる「スマートホーム」。ここ1年ほどで、クラウドの障害に起因するトラブルが続発している。エアコンが使えない、玄関の鍵が開かないなどの事態に陥った。

 Google Homeが使えなくなり、エアコンのリモコンをどこにやったかも分からない。凍死しかけている――。

 2020年12月14日、Twitter上のこうした内容のつぶやきが話題を呼んだ。米グーグルで同日発生した大規模障害の影響を受けたものだ。認証システムが高負荷となり、GmailやYouTubeだけでなく、家電の操作に使うGoogle Homeや連携サービスまで障害で使えなくなった。

 IoT(インターネット・オブ・シングズ)やAI(人工知能)の技術を使って家の中での生活を快適にする「スマートホーム」。最近ではスマートホーム用デバイスの種類が増え、数千円から入手できる。だが便利さと表裏一体で、危うさも明らかになってきた。ここ1年ほどでスマートホーム用デバイスのトラブルが続発しているからだ。Google Homeは2021年2月にも一時的に利用できない状態に陥った。安定したクラウドサービスといえど、障害はたびたび起こる。

AWSの障害を引き金に停止

 同様のトラブルは2020年11月にも起こった。家電をスマート化するデバイス「SwitchBot」シリーズやスマートリモコン「Nature Remo」などが2020年11月25日に次々と使えなくなった。同日、SwitchBotのスマホアプリに表示されたのは「AWSサービス障害によるSwitchBotシステム障害のお知らせ」だった。米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウドサービスを利用しており、その障害の影響を受けたことが明らかになった。Nature Remoのシステム障害も同様の原因だった。

写真 AWS障害の発生を知らせるSwitchBotアプリの画面
写真 AWS障害の発生を知らせるSwitchBotアプリの画面
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 スマートホーム用デバイスは自宅の無線LANに接続するケースが多い。スマホからデバイスを操作する場合、直接操作しているわけではない。インターネットを介していったんクラウド上のサービスに接続し、無線LAN経由で接続している自宅のスマートホーム用デバイスに操作の命令が飛ぶ。AWSで障害が発生すると使えなくなるのはこのためだ。

 2020年4月にシャープで発生したトラブルも記憶に新しい。同社製不織布マスクのインターネット販売サイトにアクセスが殺到した結果、スマホアプリから家電を操作できなくなってしまった。マスク販売サイトと家電を操作するサービスで同じ認証基盤を使っていたのが原因だ。マスク販売の認証でサーバーが高負荷になると、家電を操作するスマホアプリのログインもできなくなった。

表 2020年以降に発生したスマートホーム用デバイスの主なトラブル
家電が操作できなくなり、一部のユーザーに大きな影響を与えた
表 2020年以降に発生したスマートホーム用デバイスの主なトラブル
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 スマートホーム用デバイスが使えない場合、どのような影響が出るのか。照明のオンオフやカーテンの開け閉めなどは手動で操作する必要がある。エアコンの操作も物理的なリモコンがあれば問題ないが、すぐに使える状況になければ暑さや寒さを我慢するか、応急運転で一時的にしのぐことになる。最近では高齢者や障がい者をはじめ、照明やテレビの電源操作が難しい人が、音声などで簡単に操作できるスマートホーム用デバイスを自宅で活用している。生活に欠かせないツールとなっており、影響は小さくない。