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個人データをAIで分析して信用力を数値化する「信用スコア」が滞っている。ヤフーは2020年8月に撤退し、LINEは当初構想に届かぬままだ。フリーランスなど個人の信用を評価する基盤の構築が進まない恐れがある。

 「お客さまやパートナー企業に満足してもらえるサービスの提供に至らないと判断した」。ヤフーは2020年6月29日、現代版の信用スコア「Yahoo!スコア」を2020年8月31日に終了すると発表した。2019年6月に提供開始を発表したが、実質的なサービスを始められないまま幕引きとなる。

図 「Yahoo!スコア」の終了告知
図 「Yahoo!スコア」の終了告知
実質的なサービスを始められないまま終了へ(出所:ヤフー)
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 Yahoo!スコアとは同社のサービス利用状況などに応じて、スコア作成に同意した個人ごとにAI(人工知能)が算出した数値である。数値は信用力の尺度となり、数値に応じて各種の優遇や特典を提供するとしていた。利用者の同意の下、特典を提供したパートナー企業に利用者のスコアを提示する場合もあるともしていた。

 ヤフーは関連する機能やサービスの開発をやめ、利用者のスコアを8月31日までに削除する。スコア作成に同意した人数などは公表していない。

 同様に現代版信用スコア「LINE Score」を手掛けるLINEは、当初予定していた事業開発に至らず、足踏みが続く。2019年6月にサービス開始を打ち出した際、自社グループ金融に加え、個人間でモノを貸し借りするシェアリングサービスや、飲食店やホテルの予約、EC(電子商取引)など、他社の様々なサービスを優遇するとしていた。

 ところが現状はLINE Scoreを算出する子会社LINE Creditが、自社の個人向け少額ローン「LINE Pocket Money」に同スコアを適用するにとどまる。外部への同スコア提供は「中長期の目標だが現時点では難しい。今は金融に注力する」(同社の川崎龍吾サービス企画チームマネージャー)。

 現代版信用スコアの分野で気を吐く数少ない1社がJ.Score(ジェイスコア)だ。みずほ銀行とソフトバンクの折半出資で2016年11月に発足し、信用スコア算出と個人向け融資を手掛ける。

 信用スコア算出済みの利用者数は120万人で、同スコアに基づく累計の融資額は300億円。「ほぼ計画通り、順調に増えている」とJ.Scoreの向井英伸社長CEO(最高経営責任者)は話す。

利用者から批判、理解広がらず

 現代版の信用スコアとは、アンケートや様々なネットサービスの利用動向を基にAIが算出した数値である。文字通り、利用者の社会的な信用度を推し量る目安の1つとなる。

 「伝統的な信用スコア」は金融機関がローンの与信審査などに使い、勤め先の規模や勤続年数、年収など、会社員としての実績を基に算出する。これに対し、現代版のスコアの算出には利用者が入力するアンケート情報に加え、多様な個人データを使う。

 アプリやECなどの利用傾向、ネット予約したホテルや飲食店の利用実績、SNS(交流サイト)での他者からの評価や交友関係などだ。SNSなどへの投稿内容やEC購入商品は使わない。

 現代版信用スコアの特徴がパーソナライゼーションだ。個人の特性に応じて提供サービスの内容を細かく変えたり特典を与えたりする。代表例はローン金利で、高スコアには安く貸す。LINE Pocket Moneyの金利は同業大手より平均4ポイント低いという。

 メリットがある一方、現代版信用スコアには、いわれのない差別や不条理な扱いを招くのではないかとの懸念がつきまとう。実際、ヤフーは批判を受けてつまずいた。「個人の情報が勝手に外部提供されるのではないか」「IT企業が人に点数を付けるのはおこがましい」――。ヤフーが現代版信用スコアの構想を発表した直後、ネット上ではこうした批判が巻き起こった。

 批判を受けて同社は仕様を変更した。当初Yahoo! JAPAN IDを持つ全利用者の信用スコアを作成するとしていたが、これを個別に同意した利用者のみ作るように変えた。プライバシーポリシーも改定し、グループ企業に閲覧履歴や購買履歴などを提供するための同意に関する規定を新たに設けた。

 ただ、利用者に満足してもらえそうにないとの理由で終了を決めた点を考えると、ネット利用者を中心にした批判が最後まで尾を引いたようだ。