キャッシュレス決済に関連したシステム障害が相次いでいる。2020年に発生した障害は主だったものだけで早くも5件に達した。サービスの急速な普及に提供側の体制が追いついていない実情がある。
キャッシュレス決済で頻発する障害の原因はさまざま。例えば2020年6月25日にセブンイレブンの店舗で発生した障害は、外部のシステムベンダーがネットワークの変更作業で誤った通信経路を設定したのが原因だ。KDDIの「au PAY」では3月18日と6月3日の2度にわたって障害が起こり、前者はau PAYの残高を管理するシステムの不具合、後者は店舗情報管理システムでローソンの一部店舗の情報が正しく反映されない不具合だった。
リクルートライフスタイルの「Airペイ」では2月26日から29日にかけて、一部加盟店で交通系と「iD」「QUICPay」の電子マネーが決済できない状態が続いた。交通系電子マネーなどの処理を委託しているJR東日本メカトロニクスの処理センターで、一部店舗の決済端末を認証する処理に障害が発生した。日本ユニシス子会社のキャナルペイメントサービスが手掛ける決済ゲートウエイサービスで2月12日に発生した障害は、サーバーの通信処理が大量に滞留したのが原因だった。
キャッシュレス決済に詳しい大和総研の長内智主任研究員は「テストなどの事前準備を十分にしていれば障害への対応は可能だったとみている。利用件数の急増やポイント連携などサービス間の連動が進む中で、それらの副作用としてシステム障害が起こってしまっているのだろう」と分析する。