全2585文字
PR

出社勤務とテレワークを組み合わせた「ハイブリッド勤務」が広がりつつある。ハイブリッド勤務で新たなストレスが発生していると調査で判明した。働き方改革でテレワークを推進する企業は対策を講じる必要がある。

 新型コロナウイルスの拡大防止策としてテレワークが普及したのに伴い、出社勤務とテレワークを組み合わせたハイブリッド勤務が広がって2年超が経過した。こうした中、ハイブリッド勤務に取り組むビジネスパーソンの間で、新たなストレスが生まれている。

 東京大学医学系研究科精神保健学分野が2022年5月に発表した調査結果によると、ハイブリッド勤務者がストレスとして多く挙げたのは「出勤時の勤務よりオンオフがつけにくいことがストレス」(55.1%)、「在宅勤務をする物理的環境(家、机、椅子など)がないことがストレス」(52.0%)だった。出社することなく在宅勤務をしている「完全在宅勤務者」に比べてそれぞれ、16.2ポイント、13.1ポイント上回った。

 同調査は、2020年3月から実施している、1000人規模の全国一般労働者を対象にしたオンライン追跡調査「新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査(E-COCO-J)」の一環で、コロナ禍で在宅勤務を経験している労働者が感じるストレスについて調べたものだ。東京大学大学院医学系研究科の川上憲人特任教授はハイブリッド勤務者のほうがこれらのストレスを感じる割合が高かった理由について、「完全在宅勤務者は割と在宅勤務に適応しているものの、ハイブリッド勤務者は必ずしも在宅勤務に慣れていなかったり、在宅と出社が混在した状況での業務管理がしづらかったりするのではないか」とみる。

 在宅勤務をする物理的環境のなさについては、「部屋が少なく、居間でパソコン作業やWeb会議をすると、配偶者が嫌がってやめるよう言われる」「Web会議をしようとすると、大学生の子供のリモート授業とかち合う」、夫婦共働きでいずれも在宅勤務をしているケースでは「Web会議をする時間を互いにずらさなければならない」といった課題が起こっているという。

理想のテレワーク頻度とずれ

 調査結果を、在宅勤務の頻度が週1日以下の低頻度在宅勤務者と、週2日以上の高頻度在宅勤務者に分けて比較したところ、「テレワークの頻度を変えたいのに会社が許してくれない」ことにストレスを強く感じていることも明らかとなった。具体的には、「もう少しテレワークの頻度を増やしたいが、上司が許可してくれないことがストレス」を挙げた低頻度在宅勤務者が37.5%と、高頻度在宅勤務者の20.7%を上回った。一方、「もう少しテレワークの頻度を減らしたいが、上司が許可してくれないことがストレス」と回答した低頻度在宅勤務者は5.4%にとどまったのに対して、高頻度在宅勤務者が20.0%と多かった。

 こうしたストレスの理由について、川上特任教授は「ハイブリッド勤務者には、それぞれ自分に合ったテレワークの頻度がイメージとしてあるものの、実際の頻度とずれてしまっているのではないか」と分析する。ハイブリッド勤務者がイメージしている自分に合ったテレワークの頻度は、「仕事で他の社員とどの程度コミュニケーションを取る必要があるかといった担当業務の内容や、外交的かどうかといった性格、在宅勤務の環境、家族との関係といったもので決まってくる。個別性の高い問題だ」(川上特任教授)。

図 東京大学医学系研究科精神保健学分野の調査結果
図 東京大学医学系研究科精神保健学分野の調査結果
ハイブリッド勤務者に新たなストレスが生まれている
[画像のクリックで拡大表示]

 川上特任教授によると、こうした性格や在宅勤務の環境などの条件によって「テレワーク適用度」がビジネスパーソンそれぞれで決まってくるという。このテレワーク適用度が現実のテレワーク頻度と合わないと、ストレスが出てくる。