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好調が続いていたITサービス企業の潮目が変わりつつある。新型コロナの影響で2020年4~9月期に業績が伸び悩んだ企業が増えた。急なプロジェクト中止や営業活動の不調などでさらに悪化する恐れがある。

 ここ数年、デジタルトランスフォーメーション(DX)やクラウドサービスの浸透を背景に増収増益の好決算が続いていたITサービス各社だったが、不穏な出来事が2020年10月25日に起こった。ERP(統合基幹業務システム)パッケージ大手の欧州SAPが2020年7~9月期決算(国際会計基準)を発表し、大幅な減収減益を記録したのだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が直撃し、SAPの売上高は前年同期比4%減の65億3500万ユーロ、営業利益は同12%減の14億7300万ユーロだった。通期の業績見通しを下方修正したことも相まって、同社の株価は数日で3割近く急落し、時価総額は約5兆円減少した。その後、日本でもITサービス大手の厳しい決算が並んだ。先行きには暗雲が漂う。

製造業でIT関連投資の予算が縮小

 富士通が2020年10月27日に発表した2020年4~9月期決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前年同期比10.8%減の1兆6318億円、営業利益が12.4%減の622億円だった。不調の理由はSAPと同じだ。新型コロナの感染拡大の影響を大きく受けた。

 具体的には主力の法人向けシステム開発で商談が滞るなどし、受注や納入の時期がずれ込んだ。自治体向けのシステム開発プロジェクトでも商談が遅れているほか、主要顧客の自動車などの製造業でIT関連投資の予算が縮小したことも響いた。富士通の磯部武司取締役執行役員専務は「2020年度の上期は新型コロナの影響を最も強く受けた。内容はプロジェクトの延伸がほとんど。とりあえず今はスタートできないという顧客が多い」と説明した。

 NECの決算も同様に厳しい結果となった。2020年10月29日に公表した2020年4~9月期決算(国際会計基準)は減収減益。売上収益は前年同期比9.2%減の1兆3150億円、営業利益は同57.4%減の199億円だった。NECの新野隆社長は新型コロナの感染拡大による経済の悪化が同社の2021年3月期営業利益に及ぼす影響について「2020年5月時点では500億円のマイナスになるとみていたが、現時点では650億円に膨らむとみている」と語った。

 業績悪化に苦しむ各社に共通するのが、製造業向けのITサービスの落ち込みが激しいことだ。例えば、売上収益における新型コロナ関連のマイナス影響が前年同期比で851億円あった富士通は、エンタープライズ分野の状況について「製造、自動車を中心にプロジェクト開始時期の見直し影響が大きかった」(磯部取締役)とした。