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資本金1億円超の日本企業に対し、法人税などの電子申告が義務化される。対象は3万社で、義務化開始は2020年4月以降に始まる事業年度からだ。未対応だと追徴課税となるにもかかわらず、周知が行き届いていない。

 税制改正により「電子申告義務化」の対象となるのは、法人税法で「大法人」と定められた企業・団体である。具体的には資本金が1億円を超える株式会社や相互会社、投資法人、特定目的会社、公益法人、協同組合などだ。国内に約3万社あるとされる。

 大法人は法人税や地方法人税、消費税、地方消費税を申告する際、国税の電子申告・納税システム「e-Tax」の利用が義務化される。確定申告書や修正申告書、還付申告書など税の申告に必要な全書類をe-Taxを通じてアップロードして送付しなければならない。

紙の申告は「無申告」に

 2019年度は「全書類を郵送する」方式や「申告はe-Taxを利用して添付書類は郵送する」方式でも申告できる。だが2020年4月以降に始まる次年度以降、税務署は紙の書類での申告を受け付けない。

 紙の書類で申告しても無効と判断されてしまう。その場合「無申告」となり、そのまま事業年度終了日の翌日から2カ月以内(法人税や消費税の場合)という申告期限を過ぎてしまうと、追徴課税の対象となる。納税額の5パーセントに相当する金額を無申告加算税として追加で納めなければならない。

 2期連続で期限内に申告できなければ青色申告の取り消し対象となり、税制面での優遇が受けられなくなる。対象となる3万社は災害など特別な理由が無い限り、電子申告を回避できない。

 決算期が3月の企業の場合、実際に電子申告が義務化されるのは2020年9月の中間決算からだ。ただ「まだ半年以上ある」と悠長に構えてはいられない。国税庁の小田嶋淳課税部法人課税課企画専門官は「電子申告に慣れるために(決算期が3月の場合は)2020年3月の通期決算の申告からe-Taxに切り替えてほしい」と話す。

 その理由は、万一システムの操作などに手間取って電子申告ができなくても、この時点であれば紙の書類で申告できるからだ。これに対し、2020年9月の中間決算で初めて電子申告しようとしてうまくいかなかった場合は他の手段を採れない。

認知している企業は7割止まり

 義務化までの残り日数は決して多くない。追徴課税を伴う申告方法の切り替えリスクに企業はどの程度備えているのか。

 税務会計システムを手掛けるTKCが2019年9月、資本金1億円以上の企業つまり電子申告義務化の対象である大法人の経営者や経理部員など1000人を対象に調査した。すると、電子申告の義務化について「聞いたことがある」と回答した割合は70.8パーセントだった。しかも「聞いたことがある」人の中で「詳しく理解している」のは18.9パーセントにとどまった。

図 TKCが手掛けた「大法人の電子申告義務化に関する実態調査」の結果
図 TKCが手掛けた「大法人の電子申告義務化に関する実態調査」の結果
「詳しく理解している」は2割に満たず(出所:TKC)
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